求められる〝アスリート像〟とは? 競泳男子個人メドレー2種目で東京五輪代表の瀬戸大也(26)が不倫騒動を引き起こして日本水連の処分を受け、新たな波紋が広がっている。ネット上では今回の対応や処分内容をめぐって賛否両論だが、スポーツ界のイメージダウンとなったことは間違いなく、関係団体は〝第2の瀬戸〟を出すなと気を引き締める。

 瀬戸は「週刊新潮」の報道により自らの不倫行為が明るみになったことで、日本水連から「年内活動停止」などの処分が下された。ただ、これにネット上は「重めの処分とは言えないと思う」「年内だけの処分でオリンピックに出るのはいいみたいな。応援できない」などの辛口意見や「連盟は特別な才能を伸ばすことを考えるべき」「不倫なんて個人的な案件で、世間の視線を気にしないといけない環境が異常」といった水連の〝炎上対策〟だと疑問視する声も上がっている。

 確かに瀬戸が法を犯したわけではないが…スポーツ界にとってはマイナスでしかない。ある国内競技団体(NF)幹部は「今回の一件は…」と戸惑いながらも、普段から強化合宿で講習会を開いていることを明かし「うちでは『人間力』がないと世界選手権や国際大会には連れていかないよと。『人間力なくして競技力の向上なし』とは口うるさく言っている」と話す。

 とはいえ、瀬戸のような五輪金メダルクラスの選手はほんのひと握り。それでもNF幹部は「多くの選手がネットニュースなどで知っただろうし、こういうことが起こるとどうなるか、ある意味いい教訓になったのでは。こちらも一層教育的な視点で指導を続けていこうと考えている」と、〝第2の瀬戸〟の出現阻止へ気を引き締める。

 トップ選手養成機関「エリートアカデミー」を担当する日本オリンピック委員会(JOC)関係者は「競技力、知的能力、人間力の向上を目的として、これらのバランスが取れた人間形成を目指していますからね。ここからそういう(不祥事を起こすような)選手を出すわけにはいかない」ときっぱり。中高生という多感な時期の選手を抱えているからこそ「異性との向き合い方や『性』についてももちろん教育テーマの一つ。寮生活においても寮母さんがいるように、管理はしっかりできています」と語った。

 これから〝第2の瀬戸〟が出てこないことを祈るばかりだ。