ゴルフの国内男子ツアーはどうなってしまうのか?――「マイナビABCチャンピオンシップ」(11月5~8日、兵庫)の中止が発表され、男子ツアーはついに年間25試合のうち15試合が消滅した。12月には例年30人出場の最終戦「日本シリーズJTカップ」(12月3~6日、東京)が予定されるが、選手を選ぶのも難しい状態。入国制限の対象となる外国人選手が多いだけに、女子ツアー以上に厳しい状況に追い込まれている。


「マイナビ――」は2008年に石川遼(28=CASIO)がプロ転向後のツアー初優勝を挙げた大会。1971年に「日米対抗」として始まって以来、50年目で初の中止となった。

 男子ツアーは女子同様に今年と来年を統合して1シーズンとすることが決定したが、新型コロナウイルスの感染拡大により年内の6割が消滅。本来であれば、東京五輪による中断明けとなるはずだった8月以降の試合も、すでに6試合の中止が決まっている。女子も同じく中止が相次ぐが、8月以降の中止は現段階ではわずかに2試合。男子のほうが、より先が見えない状況となっている。

 大きな課題は入国制限だ。シード選手の約半数が外国人で韓国、タイ、オーストラリア、米国、南アフリカなどさまざまな国の選手で構成される。日本ゴルフツアー機構(JGTO)では「入国制限の解除」をツアー再開の目安の一つに挙げている。

 また、同じく入国制限の影響で、9月に組まれている海外ツアーと共同のトーナメント2試合(1試合は韓国開催)は予定通りの開催はほぼ不可能。さらなる試合数減が確実視されている。秋以降、ツアーが再開されたとしても、試合数が1桁では、その年のツアー優勝者や賞金ランキング上位など30人で争われる最終戦「日本シリーズ」の出場者を決めるのも困難だ。

 すべての選手がプレーの機会を失っている状況だけに「JGTOとしては100人前後が出場する通常のトーナメントに近い形を望んでいるようです」(ツアー関係者)。一方の主催者側としては選ばれた選手だけが出場できる“特別な大会”というステータスは守りたいところだろう。

 米ツアーに続き、欧州ツアーも再開するなか、試合がない日本人選手は世界ランキングのポイントを失う一方。3月にランキングの更新がストップした時点で41位だった今平周吾(27)も、50位までずるずるとランクダウンしている。

 この状況が長く続けば来年以降、日本ツアーから海外メジャーに参戦するのも難しくなる。新型コロナウイルス禍で今、試合ができない影響はツアーを再開できた後も、長く尾を引きそうだ。