あと少しだ。北京五輪のフィギュアスケート男子フリーが10日、首都体育館で行われ、過去2大会連覇の羽生結弦(27=ANA)がクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)に挑んだが、転倒して失敗に終わった。

 成功すれば世界初となる大技。冒頭で果敢にチャンジし、体は回り切ったように見えたが片足着氷を狙った際に転倒した。続くジャンプも失敗し、フリー188・06点、総合283・21点で五輪を終えた。

 しかし、人類初の偉業に挑む姿勢には世界中から称賛の声が上がっている。テレビで観戦した元国際審判員でフィギュア界の〝重鎮〟として知られる杉田秀男氏(87)は「ほぼ回っていたね。全日本選手権の時よりも進歩していると思いますよ」と興奮気味。さらに「やろうと思えばノーミスで演技できる力があるのに、それをせずに挑戦した。彼の思いが伝わってきた。さすがです」と舌を巻いた。

 今後は世界選手権(3月、フランス・モンペリエ)が控える。羽生は進退を口にしていないが、杉田氏は「恐らく辞められないし、また挑戦すると思う。僕自身もぜひやってほしい。僕の目が黒いうちに見たいですよ」と激励を送った。