フィギュアスケートの五輪2連覇の羽生結弦(ANA)が24日、全日本選手権(さいたまスーパーアリーナ)の男子ショートプログラム(SP)で、国際スケート連盟(ISU)非公認ながら今季世界最高得点を上回る111・31点をマークして首位発進を決めた。

 周囲を驚かせたのは演技構成点の「曲の解釈」の項目で審判9人中8人が10点満点をつけた事実。世界的ピアニストの清塚信也氏が編曲を手掛けたSP曲「序奏とロンド・カプリチオーソ」の音色と一体化した演技は観客を魅了したばかりでなく、審判の心も打ったようだ。

 実際に会場で羽生の演技を目撃した元国際審判員の杉田秀男氏は「本当に神懸かっていた。過去に何度も羽生君の演技に感銘を受けたが、今日は特にすごかった」と大絶賛。いつも観戦する際は独自で得点をつけているという杉田氏は「僕は審判員時代に一度も満点をつけたことがないけど、今日の羽生君の曲の解釈は10点。曲に合わせていたというより、彼の体から音楽が出ていた感じ」と言い切った。周囲で観戦していた同じ元審判仲間たちも、全員が満点をつけていたという。

 フリーで前人未到のクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)に挑む絶対王者。ひと足先に採点面でも金字塔を打ち立てた。