【陸上】04年アテネ五輪金メダル・野口みずき氏 女子マラソン金取りのカギは北海道大学にあり

2021年07月21日 11時00分

アテネ五輪で金メダルを獲得した野口さん

 史上初の1年延期となった東京五輪の開幕まであと2日。8月7日に行われる女子マラソンには一山麻緒(24=ワコール)、前田穂南(24=天満屋)、鈴木亜由子(29=日本郵政グループ)の3選手が出場する。日本勢は五輪の直近3大会で表彰台から遠ざかっているが、2004年アテネ五輪金メダルの野口みずき氏(43)は「チャンスはある」と期待を寄せる。外国勢と競り合うための“カギ”はどこにあるのか。世界を知る野口氏がレースの行方を解説した。

 東京で行われるはずだったマラソンは、暑さ対策を考慮し、北海道・札幌へ変更となった。札幌コースは東京コースと異なり、周回コースが一部に含まれる。その中で、3度も通過する北海道大構内の走り方が最も重要になってくる。

 野口氏(以下野口)北海道大学内のクランク(ジグザグ道)は細かいし、何回も走るので、後半のほうにもクランクが来る。集団で走っているときに中へ入り過ぎると、クランクで足を取られ、接触してしまう。しかもちょっと狭かったりもするので、その辺は気をつけないといけないし、精神的にも身体的にもダメージがくる。海外勢の走り方をレース中でもしっかりチェックし、海外の過去のレースを細かくチェックしたほうがいい。クランクのコースをうまく走る技術を身につけないといけない。

 札幌にコースが変更となった際には「東京より涼しいので海外勢のほうが優位では」との声もあった。とはいえ真夏のレースだけに、タフな戦いになることは間違いない。当日のレースは風向きによって海外勢にプラスとなる可能性もあるが、いずれにせよ積極的なレース運びが求められる。

 野口 よく現役時代は北海道へ合宿に行っていたが、夏の合宿でも暑い時は暑い。日本の選手たちは普段から日本の暑さに慣れているので、そこは自信を持って臨んでほしい。(テスト大会の)札幌チャレンジハーフマラソン(5月)では、後半はほとんど追い風だった。当日も風が一つキーワードになってくるかもしれない。日本の選手たちにとってはデメリットになるかもしれないが、強気でガンガン攻めてほしい。絶対にちゅうちょしてはいけない。こんな大一番のレースは他にないと思う。最初から先頭のほうでしっかり我慢比べに勝つという気持ちでやってほしい。

 札幌にコースが変更となったものの、日本特有の湿気のある暑さは外国人にとって大きなマイナス。地の利で優位に立つからこそ、序盤から攻めて流れをつかみたいところだ。

 野口(3人の代表選手は)それぞれに個性があるし、以前よりもみんなモチベーションが高い。練習に対する気持ちや練習量は、2000年代初頭の「黄金時代」と呼ばれ、00年シドニー五輪女子マラソン金メダルの高橋尚子さんや01年世界選手権女子マラソン銀メダルの土佐礼子さんなど、実力者ぞろいで「誰が出ても五輪ではメダルが取れる」と言われた時代の雰囲気に戻りつつある。特に一山選手はタイムも安定していて高いレベルで走れている。外国人選手に引けをとらない走りをしていると思うので、1個はメダルを取れるのかなと。ちょっと希望というか、いい光が見えているなっていうふうには思っている。

 1964年東京五輪では男子マラソンの円谷幸吉が銅メダルを獲得。57年の時を経て、今度は女子マラソンで新たな時代をつくれるか。

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