【大阪国際女子マラソン】松田瑞生が非厚底で劇的V シューズ戦争に新展開!?

2020年01月27日 16時30分

 これで潮目は変わるのだろうか。高速タイムを連発するナイキ社の“厚底シューズ”が世界陸連から禁止される可能性が浮上する中で、大阪国際女子マラソン(26日、ヤンマースタジアム長居発着)ではニューバランス社製の“非厚底”を履いた松田瑞生(24=ダイハツ)が東京五輪代表の選考基準タイムを破る2時間21分47秒で劇的V。ニューヒロインの活躍で「打倒ナイキ」の機運が高まってきたが、一方でシューズ戦争は意外な展開となっている。

 次はどんな好タイムを出すのか? 大会前から陸上関係者の関心は「人」より「シューズ」だった。

 その“主人公”とは米大手スポーツ用品メーカー・ナイキ社の「ズームXヴェイパーフライネクスト%」。このところの騒動で一気に世間に認知された、ウワサの“厚底シューズ”だ。高反発のカーボンファイバープレートが使用された優れモノは今月2、3日の箱根駅伝で8割を超える選手が履き、世界各地の国際大会でも好記録を樹立した。

 しかし、今月中旬に複数の英メディアが「世界陸連に禁止される可能性」を報じたことで波紋が広がった。そんな中、松田は“脱ナイキ”で優勝を果たし、五輪代表へ前進した。そのシューズとは外反母趾を抱える松田に適応するよう細部までこだわったオーダーメード。ニューバランス社で歴代トップ選手の足元を支えてきた職人の三村仁司氏(71)は「選手が練習しやすい靴を提供してあげることはメーカーとしての義務」と話している。

 では、これで一気に形勢逆転となるのか? 大きな注目が集まるが、実情はそうでもない。話題の「ズームX――」は連日の報道で一般ランナーからも大人気だ。現在、ナイキ直営店では在庫切れが続出しており、特にテレビで映し出されるピンク色は予約が殺到している。某店舗スタッフは「(箱根)駅伝が終わってから注文が増え、禁止の報道が出てから一気に売れました」と説明。入荷していない都内スポーツ用品店も「毎日のように厚底シューズはある?って聞かれますね」と悲鳴を上げている。

 ライバル社もナイキに一矢報いようと反撃開始。新シューズの開発を急いでいるものの、某メーカー関係者は「なかなか世間に認知してもらえない」。騒動当初に株価が上昇したライバル社もあったが、むしろ注目が「靴」に集まったことで結果的にナイキの独り勝ちムードに拍車がかかっているのだ。

 くしくも今回の騒動勃発は、ナイキ社の最高経営責任者が14年ぶりに交代した直後だった。同社は昨年11月に米ネット通販大手アマゾンとの直接販売を中止し、今後は自社サイトのみでビジネス展開していくビジョンを持っている。この綿密なブランド戦略には驚くばかりだ。

 今回の騒動は計算ではないだろうが、今月末に世界陸連が下す結論がどうあれ、ナイキの地位は揺らぎそうにない。