新型コロナウイルスの影響で来夏に延期した東京五輪の準備状況を監督する国際オリンピック委員会(IOC)の調整委員会と大会組織委員会の合同会議が25日、都内で行われ、計52項目の簡素化を進めることで合意した。

 合同会見にはIOCジョン・コーツ調整委員長(70)、組織委の森喜朗会長(83)、武藤敏郎事務総長(77)が出席。冒頭でコーツ氏は「非常に建設的なやりとりを行えた。組織委員会の皆さんの仕事ぶりに非常に満足し、高く評価している」と話した。

 同意に至った簡素化、経費見直しの対象は多岐にわたる。約5万人の参加人数を10~15%削減し、輸送サービスの見直し、開閉会式の華美な演出も控えるという。武藤事務総長は「感動的な開閉会式であってほしいが、お祭り騒ぎにならないよう見直す」と話した。

 また、これまで過剰なサービスで問題視されてきたIOC関係者への接待にもメスが入った。森会長は「期間中はパーティーばかり。毎晩同じような人が顔を合わせている。思い切ってなくそうと思って切り込んだ」と語り、IOC役員へ提供される料理などのサービスも削減の対象となる。

 一方、アスリートおよび競技が簡素化対象にならないことも改めて発表された。武藤事務総長は「五輪とは何かを考えた。選手と競技、これを削減の対象にしない方がいいとの結論になった」と話す。また、聖火リレーも121日間の日程、走者の権利も維持される。

 今回の簡素化計画は「東京モデル」を名付けられた。武藤事務総長は「五輪の原点をみんなが考えるようになった。コロナと共生する新しい世界の情勢の中で、東京大会が一つのモデルとなり、人類のレガシーにできるようにしたい」、森会長は「人類が大変な疫病にぶつかった。これを乗り越えて、人類が勝ったという証しに」と、来年夏の開催へ熱い思いを口にした。