どうして、ステーキの本場の米国では失敗したのか…。ステーキ店チェーン「いきなり!ステーキ」を運営するペッパーフードサービスは先日、米新興市場ナスダックの上場廃止を申請すると発表した。9月までに手続きが完了する見通し。ステーキの本場、米国展開が苦戦を強いられたためで、米進出との相乗効果を狙った上場の期間は昨年9月以来1年ほどで終わる。

 同社は立食を取り入れて低価格で集客する業態をてこに急成長し、日本の飲食チェーンで初めてナスダック上場を果たした。だが米国での不振から2018年12月期連結決算の純損益は8年ぶりの赤字に転落。19年2月には、ニューヨーク市内にあった11店のうち7店の閉店を発表していた。

「いきなり!ステーキ」は2013年に東京・銀座に1号店をオープン。肉を1グラム単位で量り売りという低価格で商品を提供して、立食形式で回転率を高め急成長。わずか6年で国内で400店舗以上にまでチェーン店を拡大している。

 17年2月に海外初店舗をニューヨークにオープン。2年間でニューヨーク市内に11店舗も拡大した。オープン当初は客に紙エプロンを提供したり、荷物を入れる箱をテーブルの下に置く、日本流おもてなしが好評だったが長続きしなかった。

 米国在住ジャーナリストは「アメリカ人には立ち食いの習慣はなかった。忙しいニューヨーカーが最初は立ち食いスタイルを珍しがりましたが、やはり抵抗感があった。後にイスが置かれるようになったんですが、立ち食いのイメージが染みついてしまった」と語る。

 それだけではない。ステーキに対する日米の考え方も違っていた。

「アメリカではステーキはカチカチに焼く。でも、『いきなり!ステーキ』は日本と同じようにウェルダンで注文されても、そこまでカチカチに焼かない。肉質も日本人にとっては、厚みがあって食べ応えがあるんですが、アメリカではそれ以上に分厚く肉々しいステーキが多いですからね。アメリカ人からすれば中途半端に感じるんでしょう」と同ジャーナリストは指摘している。