腎臓の悪い人が受ける透析療法の中で、在宅透析が注目されている。「おうち透析」とも言われる。専門家に在宅透析のメリットと課題、最新の在宅透析技術などを聞いた。

 【腹膜透析は継続治療8年、血液透析がほとんど】

 簡単に「透析」と呼ばれる透析療法は、腎臓の機能が低下した患者さんに対して腎臓の機能を人工的に代替する装置を使って行う治療だ。血液中の余分な水分や老廃物を取り除き、血液をきれいにする働きを腎臓に代わって行う。

 腎臓の機能は、流れ込んだ血液をろ過して体に必要な成分を再吸収する一方で老廃物や余分な水分、塩分などを尿として排出することだ。体内に有毒な物質がたまらないようにして、体内の水分量やナトリウム、カリウムといった電解質のバランスを正常に保ち、また血液の酸性・アルカリ性の調整をする。

 腎臓の機能が低下して腎不全に陥ると、不要な老廃物や水分が体内にたまって全身に様々な症状が現れる。腎機能が著しく低下してしまった場合に必要とされるのが透析療法である。

 透析療法は大きく分けて血液透析と腹膜透析の2つがある。血液透析は、透析装置に血液を通してきれいにする療法だ。血液を体外に取り出して人工の透析膜によって余分な水分や老廃物を取り除く。そして必要な物質を補充して、きれいになった血液を再び体内に戻す。

 一方の腹膜透析は、人工の膜でなく患者さん自身の腹膜を利用して血液をきれいにする。ただし、臓器への負担があるため継続治療が8年ほどしかできないデメリットがある。血液透析は数十年間、長く続けられる。このため腹膜透析を利用する患者さんはごく少なく、透析治療が必要な患者さんのほとんどは血液透析を受けている。

【週3回4時間の治療、治療中でも働ける在宅血液透析】

 血液透析を受ける患者さんは、病院やクリニックなどの医療機関に通院して治療を受けるのが一般的だ。だが通院は週3回、1回あたり4時間程度の治療が必要で、時間的制約が大変に大きい。働き盛りの世代なら大きなハンディキャップを背負うことになる。

 その血液透析を自宅で受けるのが在宅血液透析だ。

「在宅血液透析の大きなメリットは医療機関に行かずに自宅で血液透析ができることです。病院で週に3回4時間も透析を受けることはフルに働くのを難しくしますが、在宅透析なら透析治療中であっても働くことができる可能性が増します」と説明するのは、在宅用小型血液透析装置を開発している医療ベンチャーのフィジオロガス・テクノロジーズ(神奈川県相模原市)宮脇一嘉社長だ。

 患者さんの生活の自由度が増え、血液透析をしてもQOL、つまり生活の質が下がらないという点も大きい。「治療回数が必ずしも週3回でなくてよくなるわけです。そのため、透析回数を増やして体調を良くするような方法も可能になります」と宮脇社長は付け加える。

 透析患者は現在日本に約34万人おり、そのうち就労可能な年齢層は10万人程度とされる。このため、国も在宅血液透析についてインセンティブを設けて推進するようになっている。

 次回は在宅血液透析の課題と、その解決策について聞く。