寝屋川監禁死「地獄部屋」の過酷16年 33歳・被害者長女は体重19キロ

2017年12月27日 17時00分

 年の瀬におぞましい事件が明るみに出た。大阪府寝屋川市の自宅に娘の遺体を遺棄したとして、父親の柿元泰孝容疑者(55)と妻の由加里容疑者(53)が26日までに逮捕された。亡くなった長女の愛里さん(33)は、家の中に間仕切りで作られた2畳ほどの小部屋に16~17歳から約16年間にわたり監禁され、18日ごろに凍死。最近の食事は1日1食程度で、発見時は身長145センチ、体重わずか19キロだった。両親は監禁理由について「精神疾患を抱えた娘を療養するため」と供述しているが、娘を死に追いやろうとする計画性も見え隠れする。“地獄部屋”での想像を絶する16年とは――。

「極限の飢餓状態だ」。そう驚きの声を発するのは、神奈川県警元刑事の小川泰平氏だ。亡くなった愛里さんは室内の“監禁部屋”に約16年間監禁されていた。プレハブで仕切られた部屋の広さは約2畳で、窓はなく常に薄暗い。冷房設備はあったが、暖房はない。小部屋の内側には簡易トイレや監視カメラを設置。カメラのモニターとスピーカーを通して会話ができるようになっていた。

 だが、外から施錠する二重扉で、内側からは開けられない作り。食事は1日1回、水は外側に設置した給水タンクからチューブを通して飲めるようにしていた。

 司法解剖の結果、死因は凍死。暖房がないため凍え死んだのかと思いきや、そうではなかった。

 発見時の愛里さんは身長145センチで、体重わずか19キロ。体の脂肪が極度に少なくなり、体温を保つ機能が低下したことにより凍死した。胃に食べ物は確認されなかった。

 前出の小川氏は「これ以上減らないという極限の数値が19キロなのだと思う。両親が与えていた1食の栄養価は非常に低い。医師の南雲吉則さんや片岡鶴太郎さんのように1日1食でも健康な人はいくらでもいますから」とみる。

 調べに対して両容疑者は監禁理由について「16~17歳ごろから精神疾患で暴れるようになり、監禁して療養させていた」と供述しているが、療養とは程遠い劣悪な環境だったことは言うまでもない。

 犯罪心理学者の北芝健氏も「『暴れたから監禁した』と言っているが、それは最初のころだけで1年もたてば、密室生活で歩けなくなり、思考も停止して廃人のようになる。監禁を解くことはいくらでもできたはず。それをやらないのだから、監禁自体が日々のルーティンになっていたのだろう。おぞましい限りだ」と話す。

 愛里さんは毛布にくるまり息絶え、背中には床ズレの痕があった。自ら寝返りも打てない状態だったのだ。助けを求めることもできないほど、衰弱していたと考えられる。

 両容疑者は遺体を放置したことには「娘がかわいかったので、亡くなってもそばに置いておきたかった」と話しているが、当局は今後、監禁致死や保護責任者遺棄致死などの容疑で再逮捕する方針。場合によっては殺人罪が適用されることもあり得るという。

「食事や水を与えてはいるが、娘の弱っている様子は監視カメラで把握していたはず。このままでは死ぬとわかっていた上で、監禁を続行していたのならば、殺人罪に問われてもおかしくない」とは北芝氏。

 一家は1995年夏ごろ、大阪府内の別の場所から引っ越して来たというが、近隣住民は「玄関の扉が赤色の厚い鉄製で、監視カメラも多く不気味な感じだった。人の出入りを見たことがなかったので、事件と聞いて驚いた」と話した。

 今回の事件は、現代社会の“闇”も浮き彫りにしている。

 前出の小川氏は「16年間も事件が発覚しなかったこと自体が異常。昔は近所付き合いが密接で、他の家で不審なことがあれば交番のお巡りさんに通報があった。それが今の時代は希薄になっている。座間で起きた9人殺害の事件でも、アパートの住民は早い段階で異臭に気付いており、その時点で通報していれば、犠牲者は減っていたはず。人と人との関わり合いがおかしくなっている」と語る。

 両容疑者が23日に寝屋川署へ申告し発覚したが、それまで自治体などに相談することもなく、愛里さんには障害者手帳も発行されていなかった。背筋も凍る現代版“座敷牢事件”。真相を解き明かすためには、監禁前の愛里さんの生い立ち、家族関係にさかのぼって検証する必要がありそうだ。