韓国メディアがスポーツにおける政治的メッセージの重要性を強調した。

 サッカー界ではカタールW杯欧州予選で、ノルウェー代表の選手たちが開催国カタールの人権問題に抗議する意味を込めたTシャツを着用。出場権を獲得しても大会をボイコットする可能性を示唆している。ドイツ代表やオランダ代表も同様の抗議活動を行っており、物議を醸している。

 こうした状況を受けて、韓国メディア「オーマイニュース」はカタールに対する抗議行動を政治的メッセージと位置付けて称賛。「スポーツで一段階進んだ歴史が作られる。国の強制によってではなく、選手たちの要求によって、政治的目的のボイコットを行使する国際大会の最初の事例になるからである。何よりも政治の中立は、表現を保証するものであって沈黙を強要するものではないという先例を残すことができる」とノルウェー代表の行動を高く評価した。

 さらに同メディアは、スポーツ界で長らく政治的メッセ―ジがタブーとされてきたことを疑問視。「団体や機関が政治的中立を保障して履行することと、選手を含む参加者による表現の自由を制限することとは別の問題だと理解する必要がある。競技者の表現を防げたり、沈黙を強要するものではいけない。逆に、表現の自由を保障することができる堅固な枠組みということだ」と主張した。競技団体が政治的中立を維持する必要性がある一方で、選手によるメッセージの発信は侵害されてはならないとの問題提起だ。

 韓国では、2012年ロンドン五輪の男子サッカー3位決定戦の日韓戦で勝利したMF朴鍾佑が竹島(韓国名・独島)の領有を主張するメッセージを掲げて大問題になるなどたびたびピッチ上に政治問題を持ち込んでいる。韓国メディアの主張は、こうした選手の姿勢を擁護する意図もありそうだ。