兄・憂が見た堂安律という男 原点は対マンバトル

2020年10月05日 11時30分

堂安について語る兄の憂

 ドイツ1部ビーレフェルトの日本代表MF堂安律(22)が新たなチャレンジに臨んでいる。新型コロナウイルス感染拡大の影響で来夏に延期された東京五輪へ向けてチームを引っ張る覚悟を示した堂安を、家族はどんな思いで見ているのか。兄で関西リーグのおこしやす京都ACに所属するMF堂安憂(24)が本紙に率直な胸中を語った。“兄目線”の「堂安律」を前後編でお届けする。

 A代表でも存在感を発揮する堂安は、MF久保建英(19=ビリャレアル)とともに東京五輪の“ダブルエース”と期待される。森保一監督(52)が「金メダルを目標にしたい」と発言したように1968年メキシコ五輪銅メダル以来の表彰台を狙うには、堂安にかかる比重は極めて大きい。

 新型コロナウイルスの影響で大舞台は来夏へ延期となったが、モチベーションは変わらない。延期発表時(3月24日)にはSNSを通じ「1年後という自分の中で新しい目標を立てられることを僕はポジティブにとらえている。(中略)1年後の目標に向かってしっかりと調整して、皆さんに感動を与えられるように頑張りたい」と意欲を語っている。

 来夏も頼れる存在となりそうな中、幼少期から切磋琢磨してともに成長してきた兄の憂は大舞台を目指す弟への思いをこう語った。「めっちゃ楽しみだし、めっちゃ期待しているけど、怖さもある。チームの中心となる律と久保選手が、活躍して優勝したら絶賛されるけど、もしミスでもしたらより責められる立場。ある意味、天国か地獄かじゃないですか。本人はあまり気にしてないかもしれないが、家族として見てしまうと、そのへんは心配になる」

 ファミリーの結束力が強い堂安家。それだけに両親も同じ気持ちだろうが、幼少期から変わらぬ負けず嫌いな姿勢と日々の鍛錬が、家族の不安を吹き飛ばしてくれるに違いない。

 原点は、堂安が小学校低学年だったころのルーティンだ。憂は「こっちは3歳上なのでライバル意識はなかったし、負ける気しなかったけど、チームの練習終わりに近所の公園にコーンを置いてひたすら1対1。勝つまで何回でも勝負を挑んでくるから、長いときは夜までもあった。僕がセレッソ(大阪の下部組織)に入るまでは、やっていた」と振り返る。

 ちなみに自主トレ後も自宅に場所を移し“1対1”の対決が続いたという。「僕はオンラインでも負けないくらい(サッカーゲームの)ウイイレ(ウイニングイレブン)が強いので、律は絶対に勝てない。でも負けず嫌いだから、負けるとマジでキレる。そこが面倒だったことはある(笑い)」

 ときには“暴走”するほどだった勝負への執念は、本場ドイツでも健在。ビーレフェルトのウーベ・ノイハウス監督(60)の期待も大きく、再ブレークする可能性も十分だ。憂は「東京五輪もあるので一番は試合に出ることが大事。律はビーレフェルトが自分の力を一番発揮できるチームだと考えて、家族で相談して決めた感じですね。個人的には点を取ってほしいし、結果にこだわってもらいたい」とエールを送った。

 新天地で誰もが認める活躍ができるのか。来夏の東京五輪で日本が金メダルを獲得するためには、堂安の活躍がバロメーターになりそうだ。(次回に続く)

 ☆どうあん・ゆう 1995年12月14日生まれ。兵庫・尼崎市出身。幼少からサッカーを始め、C大阪の下部組織から長野・創造学園高(現松本国際高)、びわこ成蹊スポーツ大を経て2018年にJ3長野入り。現在は関西リーグのおこしやす京都ACに所属する。169センチ、64キロ。