J1浦和がコロナ対策でJに〝抵抗〟 観客席には意地のコレオグラフィー

2020年07月06日 16時00分

埼玉スタジアム2002を彩ったコレオグラフィー

 すでに再開、開幕したJ2、J3に続き、約4か月間中断していたJ1が4日に再開し、日本にサッカーが本格的に戻ってきた。Jリーグでは新型コロナウイルス感染防止のため細かな対策を講じてきたが、これに異を唱えてきた浦和はあえて独自路線を貫いた。サポーターとの関係のあり方、無観客試合の呼称問題など随所で見せた抵抗。ピッチ内でも新境地を開拓した“赤い悪魔”は、緊急事態の中で強行される今季、早くも存在感を見せつけた格好だ。

 新型コロナウイルスへの不安が完全に拭い切れていない中で迎えたJ1再開初戦。ホーム開催となった9クラブはそれぞれが趣向を凝らし、スタジアムのスタンドを彩った。選手たちも最後まで熱戦を繰り広げたが、その中でも浦和の舞台設定は群を抜いていた。

 浦和の代名詞といえば、熱狂的なサポーター。クラブ側は無観客での開催という状況でも、サポーターの「命」ともいえる横断幕の掲示にこだわり、訴えを続けた。だが、Jリーグの村井満チェアマン(60)は多くの人が触れることによる感染リスクの高さを理由にこれを拒否。強硬姿勢を見せていた浦和の立花洋一社長も、6月22日に「皆さんにご迷惑をかけて申し訳ない」と謝罪する事態になった。

 だが、浦和は簡単には引き下がらなかった。サポーターの思いを何とかスタンドに表すため、世界でも随一の完成度を誇ると評判のコレオグラフィー(紙などで作る文字や絵)を6日間かけてつくり上げた。使用したビニールは計6万枚。「私たちがコレオをつくるのも感染リスクは低くなかったはずですが、サポーターの思いを選手に届けるためなら、と思って。Jリーグに(横断幕を)否定されたけど、もはや意地でやってました」と手がけたスタッフの一人は振り返った。

 無観客で迎える大事な一戦の位置付けも他のクラブとは違った。2014年3月、人種差別を想起させる横断幕を掲示したことへの制裁で「無観客試合」を経験しただけに、今回との区別化は重要な問題。Jリーグ側は「リモートマッチ」の呼称の使用を推奨したが、浦和はあえてそれを使わず「ONE HEART MATCH(ワン・ハート・マッチ)」と独自の呼び名を採用。サポーターとの深いつながりを示すためにどこまでも独自の路線を貫き、わずかではあるがJリーグに抵抗をみせた。

 これは選手にも伝わり、主将の元日本代表GK西川周作(34)が「このような雰囲気をつくってくれて本当にありがとうございました」と涙ぐむほどの出来栄え。奮起したイレブンは、昨季王者の横浜Mの猛攻を鉄壁の守備で封じ、スコアレスドローに持ち込んだ。過去3年、ホームで負け続けた苦手から勝ち点1をもぎ取り、今季公式戦は3戦無敗になった。西川は「結果はポジティブに捉えている。長いシーズンを考えると、負けないことが大事。相手に勝ち点3を与えなかったことも大きい」と手応えを口にした。

 コロナ禍に苦しむ中でも“らしさ”を強調した浦和。新しい生活様式が求められる時代でも、独自路線でJリーグをけん引していく覚悟だ。