〝高橋ショック〟にサッカー界も戦々恐々だ。東京五輪のスポンサー契約を巡って大会組織委員会で理事を務めた高橋治之容疑者(78)が受託収賄容疑で逮捕されたことでスポーツ界に激震が走った。高橋容疑者は2002年日韓W杯の招致にも深く関わるなどサッカー界への影響力も絶大だけに、現場からはスキャンダルの飛び火を恐れる声が上がっている。

 W杯イヤーの今年は11月の本大会開幕を前に森保ジャパンへの注目度も上昇しており、MF久保建英(レアル・ソシエダード)が開幕戦でゴールを決めるなど多くの欧州組が明るい話題を振りまき、国内でもJリーグが毎週熱戦を展開している。

 さらに新型コロナ禍の影響により、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)の日本で初となる集中開催が埼玉でスタート。日本勢同士の対決となった18日の決勝トーナメント1回戦では神戸が3―2と横浜Mに競り勝ち8強進出を決めた。

 そうした盛り上がりを見せるサッカー界に水を差しているのが、高橋容疑者の電撃逮捕だ。

「スポーツビジネスでは殿上人とも言える人」と大手広告代理店関係者が証言するように、日本のスポーツ界を牛耳ってきた高橋容疑者。国際オリンピック委員会(IOC)をはじめ華麗なる人脈を築いてきたが、なかでも蜜月関係にあるのがサッカー界だ。

 国際サッカー連盟(FIFA)の上層部に長年にわたり食い込み、汚職で逮捕されたゼップ・ブラッター前会長や欧州サッカー連盟(UEFA)のミシェル・プラティニ前会長のほか、〝王様〟ペレ氏や〝皇帝〟フランツ・ベッケンバウアー氏など盟友関係にあるVIPは枚挙にいとまがない。日韓W杯の招致でもらつ腕を振るっており、日本サッカー界の〝フィクサー〟であることは言うまでもない。

 あるJクラブ関係者は「今でも高橋さんの流れをくむ人たちが日本サッカーの中で動いているし、直接、間接的に影響力は大きい」と指摘。そうした背景から「協会やJリーグ、クラブなどで今回のような事件や、何かしらのスキャンダルがこれから出てきてもおかしくないのでは」と不安視する声が上がっているのだ。

 高橋容疑者は東京五輪の〝闇〟に深く関わってきたとされる。サッカー界はシロであることを願いたいが…。