メモリアルイヤーの顔に新たな重責だ。新日本プロレスのIWGPヘビー級選手権(20日、北海道立総合体育センター北海きたえーる)は王者オカダ・カズチカ(34)が、内藤哲也(39)を退けV2に成功。王者として春のトーナメント「NEW JAPAN CUP」(3月2日、東京・日本武道館で開幕)に参戦する。前日の「旗揚げ記念日大会」(3月1日、同)ではオカダの希望通り団体OBが集結することもわかり、「時代の懸け橋」としての役割を担うことになった。

 50周年イヤーの主役争いは一進一退の攻防が続いた。内藤のスターダストプレスを浴びたオカダは、王者の意地で3カウントを許さない。コリエンド式デスティーノをキャッチすると、開脚式ツームストーンパイルドライバーで逆転。最後は渾身のレインメーカーで29分超の激闘を制した。

 オカダにとって、札幌は特別な場所だ。2年前の20年2月、唐突に団体創始者・アントニオ猪木氏の名前を叫び物議を醸した。だが、今年1月の東京ドーム大会ではVTRで登場するなど、猪木氏と新日本の距離は一歩ずつ進展している。オカダは「2月20日は、猪木さんの誕生日ですから。この防衛をプレゼントとして、お返しは、新日本プロレスのリングでお待ちしてます」と改めて闘病中の猪木氏が古巣マットに登場することを熱望した。

 来場を求めるのは猪木氏だけではない。昨年末の本紙の取材では「猪木さんに限らず新日本プロレスの人にはいろいろ来てもらいたいです。どこのプロレス団体もそうだと思うんですけど、OBが気楽に来れるところじゃないじゃないですか。でも、例えば(プロ野球では)巨人のOBが試合に来ましたとかは全然あるじゃないですか。団体をよくしてもらったり、50年をつないできてくれた人たちに『良かったな』って思ってもらえる、還元できることをしていきたいとは思いますね」と思いを明かしていた。

 他のスポーツと比較してプロレス界はとにかく人間関係が複雑になりがちで、決して円満とは言えない形で団体を去るケースも見られる。それでも50年という歴史をつむいできたOBへの感謝を形にしたいと切望する。

 その希望は、3月1日の「旗揚げ記念日」に実現しそうだ。折しも坂口征二相談役は本紙の「傘寿記念インタビュー」で「新日本に貢献してくれたみんな、OBたちにぜひ、こういう機会に会場に見に来てほしい」と呼びかけている。団体幹部も「新日本プロレスとしても歴史をつむいできてくれた方々の功績をたたえる場を設けたいというのは思っていました。ファンの皆さんに会場でそれを感じてもらいたいですしね」と同大会で50周年記念セレモニーを行うことを明かした。

 偉大なるOBが集結する日本武道館で、オカダは誰もが認める新日本のトップとしてリングに上がる。「この50年の旗揚げをした記念の日ですから、いろんなものをお見せできると思います。最近プロレスを好きになった方も、昔から好きな方も楽しんでいただける大会になると僕は思ってますし、その50年の歴史というのをしっかり見せていきたい」。レインメーカーは、歴史と伝統を背負って戦い続ける。