アイドルグループ・SKE48の荒井優希(23)が、女子プロレス界に新しい風を吹き込んでいる。デビュー5戦目となる10日の東京女子プロレス両国大会で初勝利を挙げ、シングルトーナメント「東京プリンセスカップ」(22日、東京・新木場1stRINGで開幕)出場メンバーにエントリーされた。アイドル活動との〝二刀流〟で、過酷な夏を乗り切れるのか。また今後、目指すべきレスラー像とは。決戦を控えた心境を直撃した。


 ――初勝利の反響は

 荒井 たくさんお祝いしていただきました。プロレスの先輩にも、ファンの方もSKE48のメンバーからも。プロレスを見たことがなかったメンバーやファンの方が、私がきっかけで知ってくれたことがうれしいです。

 ――会場のファンが増えている

 荒井 SKEファンの方は結構ハマりやすいんです。私がいない大会を見に行っていたりとか、他の選手の物販に並んでいる方もいて、ちょっと複雑な気持ちではいるんですけど…(笑い)。自分的にはプロレスのファンの方にはあまり認めてもらえないかなと思っていたら「アイドルは興味がなかったけど、SKEを見てみたいと思った」という声を聞いてすごくうれしいです。

 ――トーナメントが開幕する

 荒井 やったことがないので緊張しますし、手放しに楽しめるか不安です。でも、先輩に勝っていかないといけないし、まずは愛野ユキさんですね。いつもは優しくしていただいているんですけど、同じ「ゆき」なので強くなったところを見せて恩返ししたいです。それにこれまでシングル戦は2回させていただいたんですけど、いろいろな方と顔合わせをできればと思うので、負けられないですね。優勝? 気持ちは、なんですが…少しでも見てる方をワクワクさせられたらなと思います。

 ――勝ち進めば過酷な連戦になる

 荒井 何日も連続でライブとかやってきたので大丈夫です。昨年10月の12周年公演とか3日間で4公演とか出ましたし。ただ、夏は暑いのが好きじゃなくて…。いつも人と違う時期、夏前に夏バテしてしまうんです。乗り切る方法? 普通に夏バテしますよ、あらがわずに(笑い)。

 ――夏の思い出は

 荒井 野外ライブですかね。本当にヤバイ。(2019年8月のテレビ朝日・六本木ヒルズ夏祭りでは)何人か(舞台袖に)ハケちゃうくらいしんどかったんですけど、そういうところで培われたメンタルというか。体は動けないけど、ハケるわけにいかないしの状態を繰り返し、自分でもよく分からないパワーで動いている感じなので、だいぶメンタルは強いと思います。

 ――プロレスの楽しさも感じてきたか

 荒井 最初に比べると全然楽しめている気がします。周りを見る余裕ができた。デビュー戦が無観客で、2回目(6月6日、さいたまスーパーアリーナ)から有観客で、2回目は全く景色を覚えてない。最近は観客が応援してくれているのを見えるようになりました。

 ――なるほど

 荒井 練習がしんどいとか一度も思ってなくて、少し睡眠時間が短くなっても練習に行けた方がうれしいと思う時期です。最初のころは練習時間が足りないと言っていたけど、最近は結構練習しているなと思う。SKE48をやっていることは一度抜きにして見てもらえるくらい、先輩たちに肩を並べられる存在になれればうれしいです。

 ――長くプロレスを続けたい気持ちは

 荒井 めちゃめちゃ芽生えちゃっていて。東京女子プロレスの雰囲気のよさというか、ここにいたいとすごく思ったのが大きい。一人ひとりが団体のために動いていて、団体を大きくしたいと気持ちが一つになっているところが好きで。自分が役に立てているか分からないけど、一緒に大きくできたらすごい楽しいだろうなって。

 ――他団体の選手は見るか

 荒井 東京女子を見るので精一杯です。以前、新日本プロレスが名古屋でやった時に(松井)珠理奈さんに連れて行ってもらったことがあります。詳しくないので何をしているか分からなかったのですが、入場の雰囲気が好きで。珠理奈さんから「誰が好きだった?」と聞かれ、ぱっと出てきたのが「矢野通さん」でした。印象に残るくらい赤い服の矢野さんがすごかったです。

 ――入場でも魅せる選手になりたいか

 荒井 矢野さんの入場だけで引きつけられたところがあったので、入場やセコンドに就いている時も人に魅せられる場なんだなって。出た時から気を抜かず、誰かに気に入ってもらえたらいいなって思って出てます。

 ――愛野との1回戦は23日の新木場大会。東京五輪開会式の日だ

 荒井 東京五輪に負けない熱い試合をするので、五輪とかぶってもこっちを見てほしいです!


 ☆あらい・ゆき 1998年5月7日生まれ。京都府出身。2013年のAKB48グループドラフト会議でSKE48のチームKⅡに指名された。17年の選抜総選挙では58位で初のランクインを果たし、18年は28位。ドラマを発端にAKBグループが18年2月23日に愛知県体育館で開催した「豆腐プロレス」にバブリー荒井のリングネームで出場。今年5月4日の東京女子プロレス後楽園大会で本格デビューした。必殺技はファイナリー(カカト落とし)。167センチ。