【広瀬真徳  球界こぼれ話】2月1日のキャンプインからはや1週間。今季加入した各チームの新人選手はここから開幕一軍に向け猛アピールを続けていくのだが、早くもその中でブレークの兆しを見せる即戦力ルーキーがパ・リーグにいる。チームの新人野手で唯一、一軍スタートを切った楽天のドラフト2位・安田悠馬捕手(21=愛知大)だ。

 身長185センチ、体重105キロの大型捕手は恵まれた体格を生かした豪快な打撃が魅力。楽天がドラフトで獲得直後から球界内では「打てる即戦力捕手」と一目置かれる存在だったが、実際に本人の打撃を間近で見てみると改めて規格外のパワーに圧倒された。

 キャンプ初日に行われたフリー打撃では64スイング中、実に17本が柵越え。白球が次々と外野芝生席に吸い込まれる光景は圧巻そのものだった。バットコントロールも一級品で力強いライナー性の当たりを広角に打ち分けられる。力感と技術はすでにレギュラークラスと言っていい。それでいて本人は初日の練習後、「あまり打球が上がらなかった」と反省の弁。「マックス100%、手応え100%という感じではないです。(今日の出来は100点満点で)30点ぐらい」と笑みを見せながらも唇をかみしめたのだから末恐ろしい。

 打撃練習を見守った石井一久GM兼監督(48)も潜在能力の高さには興味津々のようで「今日はいろんな人の目に触れて違う力が入っていた。(以前に)ビデオで見た時の方がいいなと思いました」とやや辛口も、「これから徐々に自分のペースになっていくんじゃないかなと思う」と明言。「バッティングでいうと振る力がありますから。これは難しい技術というかポテンシャルの能力。(今後は)結果を求めるあまり小さくならないことを気をつけてあげたいし気をつけてもらいたい」と目を細めたのだから相当な期待なのだろう。

 現時点で安田の課題はリード面を含めた守備力と言われる。だが、キャンプ第1クールから松井裕、早川ら主力投手とブルペンでバッテリーを組み、配球等の習得に励んでいる。明るい性格のため投手とのコミュニケーションも積極的だ。この姿勢ならチームの豪華投手陣から信頼を得る日も近いはず。

 キャンプ4日目のフリー打撃では、中堅スコアボード上部を直撃して場外に運ぶ推定飛距離150メートル超えの特大弾を放ち周囲の度肝を抜いた若き主砲候補。「(キャンプ)1日目は疲れたんですけど、最近は結構楽しいです」と第1クール最終日には豪快な笑みも見えるようになっただけに、今後は一層注目される存在になりそうだ。

 ☆ひろせ・まさのり 1973年愛知県名古屋市生まれ。大学在学中からスポーツ紙通信員として英国でサッカー・プレミアリーグ、格闘技を取材。卒業後、夕刊紙、一般紙記者として2001年から07年まで米国に在住。メジャーリーグを中心にゴルフ、格闘技、オリンピックを取材。08年に帰国後は主にプロ野球取材に従事。17年からフリーライターとして活動。