じらしたほうが〝収穫高〟は高い!? 首位を走る阪神で悩ましい問題が浮上中だ。それは球界随一ともいえる助っ人外国人勢について。23日現在、投手・野手それぞれ2人ずつが登録、それぞれが貴重な働きを見せているが、今週中に少なくとも誰か一人を「抹消」しなくてはならないからだ。


 16年ぶりのVを目指す阪神で矢野燿大監督(52)が、うれしい悲鳴を上げている。「いい悩みだし、それがあること自体、俺はいいことだと思っている」というのが、今季は最大の5人の登録枠、ベンチ入りで4人が出場可能な外国人選手の起用法だ。

 8人体制の今季、シーズン前半戦では守護神・スアレスに加え、投手では2年目のガンケルが先発で6勝と定着。野手では昨季から主軸を打つサンズに加え、3年目のマルテが3番に定着。4人の評価は不変も、ここにきてコロナ禍の影響で遅れて来日し、現在は中継ぎのアルカンタラ、昨季韓国リーグ二冠の外野手・ロハスも、実力を発揮し出してきた。

 阪神は今夏の公式戦休止中、家族が来日できていない助っ人の一時帰国を許可。この休暇を経て、続々と再来日し、復帰への状態を整え、残るは26日に先発復帰するガンケルと、すでに二軍戦に出場中のマルテを残すのみ。とはいえ、登録枠やベンチ入りには上限があり、今週中には最低でも誰か一人には「二軍調整」を通告しないとならなくなる。

 しかも前週には「降格」の有力候補となっていたロハスが6試合で3割3分3厘、2本塁打、4打点と〝一軍残留〟を猛アピール。これにより本来は23日から昇格予定だったマルテの復帰を遅らせるなど、猛虎の一軍外国人枠は「狭き門」となっている。

「こうなると逆にシメたもの。他チームとどんどん差が出る。だって短いスパンで成績が出なければ、一軍にすらいられない状況が、シーズン終わるまで続くから。日本人にはよくある環境ですけど、外国人編成でこの環境は、なかなかできないですよ」。今年の球界は外国人選手の働きが順位に反映しやすい傾向もあり〝助っ人総崩れ〟したライバル球団の関係者には、うらやましく聞こえるという。

 どんな好循環が続くのか。「表裏一体ですよ。今、ロハスがやっているのをマルテだって見てますし。二軍でおあずけ(待機)を食らった人間は、絶対に落ちたくないから死にもの狂いになる。阪神は実際、去年からそう。去年はボーア、マルテが開幕一軍でサンズが二軍スタート。で、今ではサンズが外国人野手の1番手でしょ? ガンケルだって、去年はエドワーズとか、ガルシアとかいた中で優先順位は決して高くなかった。となると、マルテはじらせばじらすほど、上がったときの反発力も見込めると思いますよ。サジ加減さえ間違えなければ、今の阪神の外国人はみんな『いつ落ちるか分からない』と思ってやっている。外国人にも競争原理だなって改めて思いますよ」。

 充実の布陣で問題はいつ、誰に頼るか。最終的には指揮官の矢野監督に委ねられることになるが、日本人選手以上に「どれだけ飢えてるか」も決断材料になりそうだ。