惨敗巨人の人事風雲急も…阿部二軍監督の一軍昇格が見送られたワケ

2020年11月26日 05時15分

今季は原監督(左)の命でヘッドコーチ代行も経験した阿部二軍監督だが来季も留任の見込みだ

 セ・リーグ王者の巨人が、ソフトバンクとの日本シリーズ第4戦(ペイペイ)に1―4で敗れ、プロ野球史上初となる2年連続の4連敗で屈辱的な終戦を迎えた。今後はリーグ3連覇、9年ぶりの日本一奪回へ体制づくりも本格化する。次代の監督候補筆頭と目される阿部慎之助二軍監督(41)は、来季も二軍監督続投となる方針だ。監督修業するには〝最適〟とも言えるヘッドコーチ昇格が見送られた理由とは――。

 原巨人に再び大きな宿題が残された。ソフトバンクの圧倒的なパワーの前にリベンジするどころか壮絶な返り討ち…。球団ワーストに並ぶシリーズ9連敗となるなど、様々な不名誉記録が並んだ。

 打線の大改造も実らなかった原辰徳監督(62)は「今日も1点でね…。(第1戦から)1点、2点、0点、1点か。やっぱり攻撃型のチームという中で、攻撃が機能しなかった」と悔しさを押し殺した。

 全日程が終了し、球団は来季に向けた動きを加速させていく。かねてメジャー挑戦の夢を持つエース菅野の最終的な意思確認をはじめ、FA戦士や新助っ人の本格調査…。新たな組閣人事も行われるが、リーグ連覇を果たしたこともあり、比較的小規模となる見込みだ。

 その中で最大の注目人事は阿部二軍監督だった。来季は原監督にとって第3次政権の契約最終年。原監督自身がヘッドコーチとして長嶋茂雄終身名誉監督の下で監督修業を積んだように、阿部二軍監督を傍らに置くことも選択肢の一つとされていた。

 しかし、実際は来季も二軍監督を継続する方針が固められている。実は二軍監督に就任した当初から「最低でも2年間」と指導者としての育成期間を設けることが球団方針だった。そこには過去の反省もある。2014年に第2次政権を終えた原監督の後任に、高橋由伸氏を抜てきした。しかし、現役生活に幕を引いて監督修業する間もない中での大役となり、結局は3年連続のV逸で引責辞任。「やはり一定の準備期間が必要」(球団幹部)と大きな反省材料となっている。

 現在の原監督も後継者育成には覚悟を持って取り組んでいる。「次の世代につなげるというのは(自分の)役割としてはすごく大きいと思っている」。阿部二軍監督をヘッドとし、帝王学を直接叩き込むことも可能だったに違いないが、あえて距離を取ったのは「自分の色に染めないためではないか?」(球団関係者)という。

 そもそも二軍監督に就けたのも「類いまれな野球経験と類いまれな記録を残している。キャプテンのリーダーシップもある。新しい、限界のない真っ白な画用紙に絵を描ける」(原監督)との理由からだった。

 その阿部二軍監督は今季途中に急きょヘッド代行を務め、積極的に進言し「原監督と僕の野球観の違いにも気づかされた」とも語っていた。自分の色に染めるよりも、阿部二軍監督がじっくりと時間をかけて自分で新たな監督像をつくり上げる。それこそが原監督なりの〝監督教育〟ということか――。

 完敗の現実を受け止め「私も含めてコーチ、選手、まだひと回りもふた回りも大きくならないといけないね。我々は必要としているものがあるということですよ。一人ひとりがね」と最後は前向きに締めくくった指揮官。頂上決戦はあっけなく幕を閉じたが、2021年に向けた戦いはすでに始まっている。