広島「ホーム強すぎ」の深層 本紙評論家・伊勢孝夫氏は「疑ってかかるべき」

2018年07月25日 20時00分

V3へ向け、快進撃を続けるカープナイン

 広島が24日の阪神戦(甲子園)に3―1で勝利。4連勝で貯金を今季最多の16とし、首位をがっちりキープした。球団初の3連覇へ着々と歩を進めているのだが、今季の広島で目立っているのがホームで圧倒的に強い(28勝9敗1分け)こと。一方、ビジターでは21勝24敗と負け越している。この差は一体、何なのか。本紙評論家の伊勢孝夫氏は、広島と対戦するセ5球団に「疑ってかかるべき」と緊急提言を放った。

【伊勢孝夫氏が緊急提言】広島がマツダで強い理由はいろいろあると思う。勝手知ったる本拠地球場で強いのはどこの球団も一緒だろうが、広島独特の理由もちょっとはある。私も2年間、広島のユニホームを着たことがあるので分かるのだが、カープの選手というものは伝統的にビジターで夜遊ぶ。ホームでは夜の街で何を言われるか分からない。広島は繁華街が狭いから、夜の行動が筒抜けになるし、私も夜に流川を歩いていただけで翌日、オーナーに呼び出されたことがあった。まあ、これは半分冗談みたいな理由だが、ホームではより野球に集中できる環境にあるのではないか。

 ただ、それにしても今年のカープのホームでの勝率(7割5分7厘)は異常やと思うよ。もし、私が広島と対戦する球団のユニホームを着ていたら、まず間違いなく「防御策」を考える。今の時代は「サイン盗み」は禁止されており、もちろん広島がサインを盗んでいるというわけではない。だが、今のプロ野球はサイン交換にあまりにも無防備すぎる。私がテレビ中継で試合を見ていても、捕手のサインがアホでも分かるぐらい単純やし、クセが盗まれている可能性だってある。

 そうしたすべての可能性を「疑ってかかる」ことが大事。外の真っすぐを思い切り踏み込んでスイングされる、逆球の見逃し三振がやけに多い…など、疑わしい状況はスコアラーがしっかり把握しているはず。もちろんカウントによっては、大ヤマを張ってくる状況もあるにはあるのだが「おかしいぞ」と感じたら、すぐさま何か対策を打たなければならないのが首脳陣の仕事だ。

 私の時代はサイン盗みが当たり前のように横行していたから「おかしいぞ」となったらすぐに、サインを変えたり、逆手に取って裏をかくようなプレーを心がけてきた。だが、サイン盗みが全面的に禁止されている今の時代は、そういう発想がないのかもしれない。

 野村監督時代のヤクルトで打撃コーチをしていた私が後年、巨人のユニホームを着た時に、村田真一(現ヘッドコーチ)から「伊勢さん、ヤクルトは神宮のスコアボードからウチのサインを覗いてたんでしょ!」と、会って早々に言われたことがあった。首脳陣はそうやってあらゆる可能性を疑ってかかり、防御策を考えるべきである。

 まあ、当時のヤクルトは「覗き」ではなく、村田の「サイン交換後、右足を先に動かしたら右打者の外角球、左足を先に動かしたら内角球、コースに寄らなかったらフォーク」という捕手の“構えグセ”を盗んでいたわけだが…。

「下衆の勘ぐり」も首脳陣の仕事。用心するに越したことはない。(本紙評論家)

【他球団スコアラーはこう見る】今季の広島はホーム(呉1試合、三次1試合含む)で28勝9敗1分けと、実に19の貯金を稼いでおり、チーム打率は2割7分1厘、同防御率は3・46を誇っている。一方、ビジターでは21勝24敗と借金3。チーム打率は2割5分2厘、同防御率は4・85とガクンと低下する。

 チーム別のホームでの成績は、巨人に8勝0敗、ヤクルトに6勝0敗、阪神4勝1敗、中日4勝2敗と続き、DeNAだけに1勝2敗1分けと苦戦している。交流戦では日本ハムに1勝2敗、楽天3勝0敗、西武に1勝2敗だった。

 ちなみにパ・リーグは首位・西武は本拠地で24勝18敗1分け、敵地で25勝17敗とほとんど差はない。2位・日本ハムはホームで25勝15敗と貯金を2桁稼ぎ、ビジターでは23勝22敗1分けと苦戦するも1つ勝ち越している。

 他球団のスコアラーは「ホームに超強い」広島をどう見ているのか。

「ファンの後押しはもちろんあると思う。ただ、それ以上に広島と対戦する相手投手が自分の投球ができていないように見える。狙ったところに投げられていない。それを広島の打者がしっかりとらえているし、四球も取れている」

「他のチームは個人に任せているところもあるが、広島はチームとしての『狙い』を徹底していることも強い理由では」などの声が上がっているが…。はっきりとした“答え”は出ていないようだ。