いよいよ“東西分断”にまで発展か。米球界のご意見番、ニューヨーク・ポスト紙のジョン・ヘイマン記者が16日(日本時間17日)、エンゼルスの大谷翔平投手(28)がヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手(30)を差し置いてア・リーグMVPになる可能性について「西海岸バイアス(ひいき)」と寄稿した。

 よほど腹に据えかねていたのか、同記者は「投票にはいつも東海岸バイアスがかかっているから大谷をMVPとしてもっと考慮すべきとの意見がカリフォルニアからたくさん入ってくるが、アボカドトーストの食べ過ぎで考え方が偏っているのではないか」と指摘。メジャー史上初の投打での規定到達を目指す大谷に「我々が見たことのある中で、おそらく最も優れた選手だろう。最も多芸多才かと言われれば間違いない」と敬意を表しながらも「最も価値があるかと言われれば今年はノー。数字から見た時、最高の選手でもない」と一刀両断にした。

 過去10年を振り返ってみると、エンゼルスはプレーオフ進出が2014年の1度だけなのにMVP受賞は4度(トラウト3回、大谷1回)ある。対してヤンキースは地区優勝2回、ワイルドカード5回ながらMVPは07年のアレックス・ロドリゲスが最後。それなのに“東海岸びいき”と言われるのが許せないのだろう。

「バイアスがあるとすれば、サーファー野郎、ソープ・オペラに出たい人(ハリウッド俳優を目指す人)、スペース・カウボーイ(カリフォルニア州では合法化しているマリフアナばかり吸っている人)らだろう。どれだけ頑張っても、MVPはジャッジに投票することしか考えられない」

 ニューヨーカーらしいジョークを交えながらも随所に“西海岸憎し”があふれ出る。確かに10年以降のアMVPで東海岸から選ばれたのは、15年ジョシュ・ドナルドソン(ブルージェイズ)と18年ムーキー・ベッツ(レッドソックス)の2人だけ。ジャスティン・バーランダー、ミゲル・カブレラ(ともにタイガース)らが受賞した中地区4回、西海岸6回と東海岸は押されっぱなしだ。

「東海岸バイアスなどないのだ。西海岸こそ、アワード・セントラル(中心地)。でも東海岸族は『それはそれ』として文句なんて言わない。トラウトも大谷も正当に受賞した。しかし、ジャッジは、かのロジャー・マリス(ヤンキースで1961年に61本塁打)より良いシーズンを送っているし、ヤンキースの面々がケガで離脱していく中、さらに進化を続けた。特に57本の本塁打は、お楽しみやショーのディズニーランドにぴったりな大谷の本塁打より意味深い本塁打がほとんど。ラ・ラ・ランド(西海岸)では投票者が大谷に飽きたと訴えるが、東側では、東海岸バイアスがかかっているからと意味のある試合に勝たずにアワードばかり勝っていくことに飽きたよ」

 言うなれば、大阪人と東京人の違いをネタに笑いを誘う海原やすよともこの漫才のようなものなのか…。ガチなら大谷かジャッジかのMVP論争は、行き着くところまで来てしまったのかもしれない。