米経済誌フォーブス(電子版)は14日(日本時間15日)に「エンゼルスのスター、大谷翔平の独自性はウラジーミル・ゲレロよりMVPの栄誉にふさわしい」というタイトルで、ア・リーグのMVP候補者を比較した。

 打率、出塁率などの成績をそのまま評価するのではなく、候補者たちの打球を多角的に分析する手法も取り入れたことがポイント。具体的にはゴロ、飛球、ライナー時の打球速度・角度から、本来はこのような結果になるべきだったという、予測される生産レベルを算出した。

 大谷の場合、実際の打率/出塁率/長打率は2割5分7厘/3割7分2厘/5割9分2厘だったが、同誌は2割7分7厘/3割8分2厘/6割2分1厘に上方修正。生産性は打者として45・9、投手としては16・3の計62・2で、「ゲーム(の概念)を根本的に変えたのだから、彼にMVPのトロフィーを与えるだけでは不十分」と、MVPの最有力であると結論付けた。

 ブルージェイズのウラジーミル・ゲレロ内野手(22)の生産性は大谷を上回る65・0だったが総合的な評価は2位とした。3位は同57・2のヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手(29)、4位は同41・3のインディアンスのホセ・ラミレス内野手(29)、5位は同31・0のアスレチックスのマット・オルソン内野手(27)だった。

 同誌は大谷がライナーを打った時の平均打球速度がゲレロの95・1マイル(約153キロ)とジャッジの95・8マイル(約154キロ)を上回る100・7マイル(約162キロ)だったことなどを紹介し、三振(189=MLB4位)は多いがそれを上回る天性のパワーを発揮していると評価。欠点は「スイングがアッパーカット気味のためゴロになる傾向が強いこと」と、投手として「耐久性のなさが唯一の懸念材料」とした。

 打率、本塁打、打点だけではなく、打球の速度と角度など、結果に至るまでのプロセスを評価基準に加えた要因として、同誌はこう説明した。「今季の大谷を(成績の)数字(数値)の科学として正当に評価するのは相当難しいため、その芸術性にも着目した」
 二刀流で歴史的なシーズンを送った大谷は野球の枠を超えた。