新日本プロレス真夏の祭典「G1クライマックス」優勝決定戦が10日、埼玉・西武ドームで行われ、オカダ・カズチカ(26)が中邑真輔(34)を撃破し、2年ぶり2度目の優勝を果たした。公式戦を含めると合計9勝を必殺のレインメーカー(変型短距離首折り弾)でつかみ取ったVの裏には、知られざる決意があった。プロレス界では前代未聞の「レインメーカー基金」を設立するというのだ。
プロレス史上初の西武ドーム決戦で迎えた優勝決定戦。CHAOSの同門・中邑との頂上決戦が動いたのは20分過ぎだ。スライディング式、ジャンピング式のボマイェを浴びたオカダは、正調ボマイェにカウンターのドロップキックで反撃に出る。
粘る中邑を逆さ押さえ込みに捕らえると、相手が返した瞬間に間髪を入れず引き込み式のレインメーカー一閃。さらに起き上がりこぼしのような形でもう一発叩き込むと、最後は正調レインメーカーを炸裂させ、魂の3連発で栄冠をつかみ取った。
公式戦の8勝に優勝決定戦を加えると、計9勝をレインメーカーで挙げてG1制覇。こだわり続けた右腕には、知られざる決意が秘められていた。オカダが長崎・五島列島で幼少時を共に過ごし「父親代わり」と慕った伯父・田端勝利さん(64)は現在、大腸がんと闘っている。母親・富子さんの兄に当たる勝利さんに自分の活躍を届けるため奮起しているのは、今年の1・4東京ドーム決戦後に報じている。ところが昨年6月には勝利さんの孫・田畑毅(たける=14)君が左足の骨肉腫に侵されていたことが判明。毅君は昨年11月に「自家液体窒素処理骨移植」の手術を受け、今年7月に退院したが、伯父に続く親戚の闘病を知りショックを受けていたオカダは、今年に入り一つの決断をした。
それはレインメーカーで勝利を挙げるごとに、3万円を公益財団法人「がんの子どもを守る会」に寄付するというもの。オカダは「身内にいるっていうのもあるし、その人たちの足しになればいいかなと。中でも小児(がん)ですね」と明かした。現在大阪に在住する毅君は、近いうちに会場でプロレスを生観戦したいと希望しているという。オカダも、自分がレインメーカーで試合に勝つことで勇気を与えるのと同時に、同じ病気に苦しむ子供たちの役に立ちたい一心で「レインメーカー基金」の設立を決めたのだ。
またこれはオカダ自身が以前から考えていたことでもあった。「他のスポーツだと、そういうことをやっている選手は多いですし。他のメジャースポーツに近づきたいという思いはあります」と、プロレスの地位向上を常に願うオカダだけに、社会貢献にも意欲を示している。
オカダは今年に入り、レインメーカー以外のフィニッシュホールドを使用していない。G1終了時点で、レインメーカーで挙げた勝利数は26。まずは上半期分として、78万円が11日にも寄付される見込みだ。
西武ドームのリング上でオカダは「俺が新日本の中心にいる限り、新日本プロレス…いや、プロレス界に、カネの雨が降るぞ!」と堂々宣言した。2012年の凱旋帰国から約2年半。プロレス界に降るカネの雨は、病気と闘う子供たちの希望にもなる。その使命を胸に「レインメーカー」はこれからのプロレス人生を歩んでいく。












