裏方で奮闘する元選手】球界で最も激務であり、頭脳を要求される裏方業は「マネジャー」と言われる。チームのスケジュール管理に始まり、遠征時の移動手段、ホテル手配等、仕事は多岐にわたる。そんな業務に長年携わるのがDeNA一軍マネジャーの西崎伸洋さん(36)だ。

 福岡・糸島高から2000年ドラフト6位で捕手として横浜に入団。強肩と俊足を武器に同期のドラフト1位だった内川(現ソフトバンク)らとともに将来を期待された。

 だが、プロ入り後は伸び悩み、現役8年間12試合の出場で08年に引退。同年オフから球団の要請もあり一軍サブマネジャーに転身した。

 野球一筋だった人間が、チーム管理の道へ。当初は苦労の連続だった。

「仕事量が多くやり方もわからなくて。最初の1年はチーフマネジャーの動きを見ながら選手周りの雑務に追われるばかりでした」
 裏方2年目は二軍マネジャーとして仕事場をファームに移した。

 一般的に見れば二軍の方が一軍に比べ仕事量や職務の重圧が少ないと思われがちだが、西崎さんは「むしろ二軍の方が大変」とこう続ける。

「一軍はミスが許されない半面、広報や用具係など仕事が細分化されていますし、スタッフの人数も多い。でも、二軍は裏方の数が少ないのでマネジャーが通常業務の他に、広報や外部関係者への応対、道具搬入等を行わなければならない。僕は二軍を5年間やりましたけど、そこで裏方、マネジャーの仕事を学んだ感があります」

 17年からは一軍マネジャーに就任。今季で2年目だが苦労は絶えない。

 直近では西日本豪雨で甚大な被害が及んだ7月6日、大阪への遠征時のこと。当日チームは横浜から午前中に移動した後、阪神の本拠地・甲子園球場でのナイターが予定されていた。ところが大雨の影響で午前中から新幹線を含めた交通機関がマヒ。多くの首脳陣、選手が予定通り移動できず混乱を極めた。

「試合が行われるかどうかの連絡は監督や選手よりまずマネジャーに届く。だから、試合中止が決まった瞬間から首脳陣、選手にLINEで情報を発信。同時に選手の移動状況を把握したり今後の日程調整、交通手段の確保、変更などをできるだけ早く行わなければならなかった。この日はさすがに全員が時間通りに宿舎に集まるのは不可能だと感じたので、監督に『今日は練習なしの休日にしてください』とお願いしました。そういう業務もマネジャーの仕事なのです」

 それでも、この仕事が「楽しい」という西崎さん。今後は元プロ野球選手として現役選手のセカンドキャリアの手本になれるような人間を目指しながら、マネジャー業を通して「選手教育」にも力を入れたいという。

「野球選手は引退後の人生の方が長い。球団に残れる人も限られる。もし、球団に残りたいのであれば現役時代から少しでも裏方の仕事を把握していた方がいい。現役後の(裏方への)一歩目が入りやすいし、僕らも球団に推薦できるので。実際自分も、現役時代に風呂場のスリッパを毎日並べていたところを前マネジャーが見ていてくれて、球団に僕を(マネジャーとして)推薦してくれた。僕も選手のサポートを通じて次の人生につながる懸け橋のようなものをつくりたい」

 現役引退後の厳しさを知る元プロ野球選手。裏方でありながらもチームに様々な貢献を続けている。