異業種で輝く元プロ野球選手】野球に携わりながら「福祉」の道も歩む。そんな異色の人生を送る元プロ野球選手がいる。長峰昌司さん(33)。茨城県内の障害者施設で働きながら独立リーグの地元球団創設に尽力している。

 水戸商から2002年ドラフト5位で中日入り。プロ2年目から先発、中継ぎ左腕として活躍したものの、11年には戦力外通告。その後移籍したオリックスでも力を出せず12年に現役引退。13年からは元楽天監督の大久保博元氏が運営する野球塾で小中学生の指導にあたっていた。

 転機が訪れたのは15年夏。茨城県内を中心に福祉サービスなどを展開する「株式会社アドバンフォース」代表・山根将大氏との出会いだった。同氏からBCリーグの地元球団立ち上げ計画を聞き、刺激を受けた。

「初めに話を聞いた時は、何となく漠然とした感じで。でも翌年の夏ごろでしょうか。山根さんが本格的に球団の立ち上げを行うと聞いて自分も力になりたいと。そこで野球塾での指導を辞め、活動に携わろうと決めました」

 もっとも、球団設立には時間を要する。その間、自らの生計を立てる必要もある。「球団設立準備と並行して何か新しいことに挑戦できないか」。脳裏に浮かんだのが福祉の仕事だった。

「山根さんの会社が障害者の就労支援施設を運営していることもあり、施設を一度見学しに行きました。当初、障害者の就労支援というと、暗いイメージを持っていましたが、実際はまったく違って。みんな明るく元気に仕事をしていた。その姿を見たら、自分が野球を通して経験してきたことを伝えられるかもしれないと思いました。幸い、私の母親も介護の仕事をしていたので、福祉への抵抗はなかった。『やる』と決めてからは迷いはありませんでしたね」

 16年末から水戸市内の就労支援施設で始めた仕事は障害者に配送業務や軽作業を教える「指導員」。指導する側には忍耐、根気が必要だ。それでも長峰さんは苦労をいとわない。

「子供たちに野球を教えることと、仕事を教えることが似ていたんです。日々の練習を重ね、少しずつできるようになっていく。そう思えばやりがいがありますよ」

 懇切丁寧な指導は地元でも評判。昨年末には茨城県社会福祉協議会が選ぶ福祉の魅力を発信する「ふくし“きらり人。”」に任命され、今では業界のイメージアップに貢献している。

 今年2月に結婚。現在は伴侶のサポートを得ながら17年に産声を上げた地元球団「茨城アストロプラネッツ」のBCリーグ加盟にも全力を注ぐ。

「茨城は元来、野球熱が高い地域。何とか来年(19年)には加盟して、地元の野球熱を今以上に盛り上げたい。同時に、野球やパラスポーツを通して、障害者の方々にスポーツの楽しさを知ってほしい。将来的にはそういった活動もしたいですね」

 身長192センチの上背を誇る元プロ左腕。地元と福祉の未来を背負いながら今日も奮闘を続ける。