日本野球機構(NPB)は10日、今季の一軍公式戦で使用している統一球の反発係数の平均が「0・426」と、規定の上限「0・4234」を上回る数値が出たとの検査結果を発表した。選手などからも「昨年よりも飛ぶ」と言われていたが、明らかな“違反球”だったことを数字が証明した形だ。昨年に続き、ペナントレース中に発生した統一球問題。本紙評論家の宇野勝氏が緊急提言を行った。
昨年、選手やファンに公表することなく統一球を飛びやすく変更していたことが発覚して大きな騒動となり、10月には加藤良三コミッショナーが引責辞任した。そこでNPBは今季からシーズン中に定期的に行っている検査の結果を発表する方針を決めたところ、いきなり“違反球”が見つかった。
3月29日の開幕第2戦が行われた6球場で1ダースずつ検査した結果、5球場で統一球の反発係数の規定上限を超え、全体の平均数値は「0・426」だった。
昨年4月の検査では平均で「0・416」だったから、さらに「飛ぶボール」に変更されていたことになる。開幕当初から球界の内外で「今年のボールは飛び過ぎる」という声は多く、巨人・村田が9日の広島戦で東京ドーム天井の照明灯を直撃する150メートル弾を放った際にも、その“疑惑”が高まっていた。
またもやペナントレース中に、昨年、世間を騒がせた問題を蒸し返す形になったのだから、お粗末としかいいようがないが、本紙評論家の宇野勝氏はこんな見解を示した。
宇野氏 上限が決められているのにそれが守られないということは、結局は技術的に難しいということなのだろう。「野球の硬式球を縫う機械ができればノーベル賞」と言われるほど、ボール作りは繊細な作業で、すべてのボールを基準の反発係数内(0・4034~0・4234)に作ることは至難の業。であるならば、NPBが提供されるボールを一括管理して、基準の反発係数のボールのみを公認球とするしかないのではないか。統一球の反発係数に満たないボールは各球団の練習球に回すしかない。
そもそも、統一球の反発係数はNPBが決めたもの。果たして、その数値は妥当なのかという点を踏まえて、宇野氏は大胆な案も口にした。
宇野氏(基準内で)球場ごとに反発係数を変えるというのもありだと思う。器が狭く、ホームランが出やすい東京ドームや横浜スタジアムはある程度飛ばないボール。逆に広いナゴヤドームや甲子園は少し飛ぶボールといったように分けてみたらどうだろうか。あまりにもホームランがばんばんと出てしまうとファンから「飛ぶボールを使っているからだ」と思われてしまう。しかし、ホームランはプロの技であり華。あまりにもホームランが出ないのも寂しい。中日は2011年にチーム打率、チーム得点が12球団最下位にもかかわらず優勝したが、あれもどうかと思った。球場に見合ってボールを選択することを考えるべきだ。
NPBは再検査の実施を決め、10日に試合が開催された6球場から無作為にボールを抽出した。製造元のミズノには速やかに原因を究明するよう指示。NPBの井原敦事務局長は「現時点で原因を特定できないのは申し訳ない。速やかに原因を究明し、定められた規格の球にしたい」と話したが、シーズン中にボールが変われば、個人記録やチームの勝敗にも影響が出てくる。さらに1万ダースとされる在庫はどうするのか。宇野氏の緊急提言も含め、球界は今度こそ真剣にこの問題に取り組まないとファンからも見放されてしまう。












