憧れ続けた浅井嘉浩(ウルティモ・ドラゴン)との初めてのシングルマッチが実現した。2003年10月、舞台は世界最大手のWWE。大学時代に浅井の存在を知り、その背中を追ってメキシコへ渡ったTAJIRIは、当時WWEクルーザー級王者の座に就いていた。

 メキシコで初めて出会った頃、浅井は手の届かない存在だった。その後、TAJIRIは米国に渡り、ECWを経てWWEへ進出。一方、浅井もWWEに加わり、2人は同じ団体に所属することになった。かつて浅井から相手にされなかったTAJIRIが、なぜ一緒に試合をするまでになったのか。「WWEに入ったからですね。やっぱりそこですね」。メキシコ時代には考えられなかった対戦が、米国のリングで実現することになった。

 試合が行われたのは、WWEのテレビ番組「スマックダウン」。王座を懸けないノンタイトル戦だったが、世界中に放送される舞台での一騎打ちとなった。結果はTAJIRIの勝利。大学時代から追い続けてきた浅井を相手に、白星を挙げた。

 その夜の出来事を、こう振り返る。「初シングルをやって、その日は夜、ホテルで泣きましたね」。プロレスラーとして数々の試合を経験してきたが、勝利した後に涙を流したことは、他にもあったのか。「あとにも先にも、これ1回きりです」。

 憧れの浅井との初対決を制した後、ホテルで流した涙。その理由は、単純な喜びではなかった。TAJIRIが明かした意外な真相とは――。