〝インドの狂虎〟タイガー・ジェット・シン(82)が、往年の暴れっぷりを見せつけた。14年ぶりの来日を果たし、17日の「工藤めぐみ40周年記念大会~邪道姫伝説~」(代々木第二体育館)にゲスト参加。同大会では観客をサーベルで襲撃し負傷させる事態を引き起こし、大きな波紋を呼んだ。かつてアントニオ猪木、ジャイアント馬場の両巨頭と死闘を繰り広げた極悪レジェンドの、「今」をリポートする。
シンは15日に、2012年以来14年ぶりに来日した。近年はシン側との接触が難しく、本人も高齢とあって「招聘は困難」とみられていたが、ゼロワン・工藤めぐみGMの願いをかなえるため関係者が奔走。あらゆるルートを使って〝令和初上陸〟にこぎつけた。シンも今回の来日に向け、居住するカナダでトレーニングを積んでいたという。
今回の来日は息子のタイガー・ジェット・シンJr.と、孫のサージェンさんを帯同。16日午前中には長年の宿敵だった猪木さんの墓所に赴き、さらにプライベートの猪木さんを襲った「伊勢丹前襲撃事件」(1973年11月)を起こした、伊勢丹新宿店前も訪れた。
17日の大会当日には、衝撃的な事件が発生。猪木さんの一番弟子、藤波辰爾らが出場したタッグ戦の「特別立会人」を務めたが、入場の際には往時と同じようにサーベルを振り回し、フェンス越しに観客の頭を直撃。観客は前頭部から出血して救急搬送された。
幸いにも大事には至らなかったが、〝凶行〟で観客を負傷させたことは波紋を広げ、工藤GMも謝罪を余儀なくされた。ところが、当の本人は「俺から逃げればいいだけだ」と「事故」だと強調。ファン、メディアまで見境なく襲撃することには「私は人にバカにされることを決して認めない」などと語っていた。
一夜明けた18日には都内で開催されたファンミーティングに息子、孫とともに参加した。時折笑みも見せて熱心なファンと交流したが、イベント後の取材ではその姿勢に揺らぎはない。〝観客襲撃〟が大きなニュースになったと伝えると「みんな、なんか意味もなく騒いでいる。真実じゃない。正直言って大したことじゃない」とピシャリ。
息子のシンJr.も「ケガしたことは残念だと思うが、試合前のタイガー・ジェット・シンだぞ。(初来日から)53年、誰もが〝狂虎〟を知っている。バスが全速力で走ってきたのに、そこに突っ立ってるか? 普通は道を空けるよね」と父の胸中を代弁した。
「大したことじゃない」とする〝凶行〟が反響を呼んだことは、それだけプロレスファンを刺激し続けた狂虎への関心が高い証拠でもある。シンJr.は「100%その通りだ。今回はファンのことが大事だから来日した。息子と孫まで来る必要もなかったが、それだけ日本を大事に思ってるからこそ、3人で来たんだ。ファンには本当に感謝と愛を持っている」と語った。
シンは滞在3日間の取材で一度も笑顔を見せなかったが、トークショーでは再来日することがあれば「約束はできないが…」としつつ〝試合復帰〟をリップサービスした。狂虎の息子も「この国、そしてファンたちは、今でも父にとって特別な存在。その闘志は、父がこの国にいる時、生き生きとよみがえるんだ」と強調した。
令和の日本を震撼させた狂虎。特別な国だからこその〝凶行〟だったのだろうか…。













