選手の負担を軽くし、10月の熱狂を長くする――。一見、歓迎されそうな改革案には、ドジャースの補強戦略まで揺るがしかねない〝危険な条件〟が付いていた。MLBは8日(日本時間9日)、新たな労使協定に向けた交渉で、2029年からレギュラーシーズンを現行の162試合から154試合に短縮する構想を提示した。月曜を原則休養日に設定し、地区シリーズは5戦3勝制から7戦4勝制へ拡大。2027年からはポストシーズン上位シード球団による対戦相手の選択制度も盛り込んだ。
米スポーツ専門局「CBSスポーツ」のマット・スナイダー記者は9日(同10日)の記事で「ディビジョンシリーズを5試合から7試合に延長するのは良いことだ」と評価。短期決戦の偶然性を抑え、先発投手の層を含むチームの総合力が勝敗に反映されやすくなるとみる。週1日の休養も「選手たちにとって素晴らしいことだ」と歓迎した。
だが、ここからが本題だ。同記者は「オーナー側の提案が有効になるのは、サラリーキャップが導入された場合に限られる」と指摘する。球団オーナー側が求める年俸総額の上限制度を選手会が受け入れることが、改革案の前提というわけだ。選手会は報酬や権利を損ねるとして強く反発している。
ドジャース・大谷翔平投手(32)らスター選手を抱え、巨額投資で戦力強化を続ける球団にも無関係ではない。上限が設けられれば、大型補強に制約が生じる可能性がある。スナイダー記者は、小規模市場の球団が資金難を訴えるなら財務内容を開示すべきだと主張。球団間格差の実態が分からないまま上限を課すことに異を唱えた。
しかも同記者は、ファン受けの良い改革案を公開するオーナー側の思惑にも疑いの目を向ける。「選手たちを『言うことを聞かず、交渉しようともしない悪者』として描こうとしている」と批判した。
現行の労使協定は12月1日(同2日)に期限切れ。サラリーキャップが導入されれば、ドジャースも大谷ら主力との大型契約を抱え、新たな大物FA獲得や主力引き留めに制約を受けかねない。8試合減の裏には常勝軍団の〝金満補強〟まで揺るがす火種が潜んでいる。












