睡眠不足や気圧の関係など一時的な違和感の場合もあれば、突発性難聴など疾患の症状として現れる場合もある耳鳴り。急いで受診すべきなのはどのようなケースか、脳神経内科医の佐藤眞也先生に話を聞いた。

 ――耳鳴りが気になった場合、何科に行けばいいのでしょうか

 佐藤医師(以下、佐藤)まずは耳鼻科を受診するのが一般的です。診察では、いつ始まったか、片耳か両耳か、脈と同じリズムか、音の種類、聞こえにくさや頭痛、めまいや痛みの有無など、自覚症状を具体的に伝えてください。高血圧や糖尿病など既往歴も必ず伝えましょう。

 ――疾患によって、聞こえ方が違うといわれますが…

 佐藤「キーンならこの病気」「ブーンなら心配ない」と単純に判断することはできません。あくまで音の聞こえ方は診断をする上での参考の一つです。ただし、心臓の鼓動に合わせて「ドクンドクン」と脈打つような耳鳴りでは、動脈硬化や脳の血管の病気などの可能性があります。

 ――このような血管系の病気が背景にある場合は急ぎ受診した方がいいですよね?

 佐藤 その通りです。頸動脈にできた脂肪の塊や、大きな脳動脈瘤によって血流が乱れ、その音を耳鳴りとして感じることがあります。特に脳動脈瘤は破裂すると、くも膜下出血につながるため、早めに対処が必要です。ほか、耳の病気である突発性難聴も治療が遅れると後遺症が残ってしまいかねないです。

 ――急ぎ受診すべき目安を知りたいです

 佐藤 急にその音を自覚し始めたかどうかがポイントです。「何月何日、何時何分から」と特定できるほど、急に始まった耳鳴りは、緊急性のあるレッドフラッグです。数時間から数日で音が大きくなる、音のパターンが変わる、短時間で悪化してきたといった場合も速やかに受診してください。

 ――どのような検査が行われますか

 佐藤 まずは聴力検査などで、耳の病気がないかを確認します。そして、必要に応じて頸動脈の超音波検査、脳のCTやMRI、血液検査などを行い、原因を調べます。診断がつけば、それぞれの疾患に応じた治療が行われます。

 ――予防法としては、関連する病気にならないようにするしかないのでしょうか

 佐藤 すべての耳鳴りを防ぐ確実な方法は残念ながらありません。関連する疾患にならないようにすることが第一です。そして、睡眠や食事、運動など生活習慣を整えることは、健康的な体につながりますし、一時的な耳鳴りの予防にも重要なポイントですね。

 ☆さとう・しんや 藤崎メディカルクリニック院長。認定内科医・総合内科専門医、神経内科専門医。鹿児島大学医学部卒業。倉敷中央病院神経内科などを経て現職。かかりつけ医として、一般内科のみならず、脳神経内科と呼吸器内科の専門的診療まで幅広く対応する。