周囲で何も音は鳴っていないのに「キーン」「ブーン」といった音が聞こえてくる耳鳴り。体で一体何が起こっているのか、脳神経内科医の佐藤眞也先生に話を聞いた。 
――耳鳴りとは、どのような症状なのでしょうか

 佐藤医師(以下、佐藤)周囲で実際に音がしていないのに、「キーン」「ブーン」「ザー」「ドクドク」といった音を感じる症状です。体内では、血流や筋肉の動きなど、常に小さな音が生じていますが、健康な状態では脳が不要な刺激を意識しないようにしています。しかし、いわゆる「いつもの健康な状態」ではなくなると、耳鳴りとして音を感じることがあります。

 ――ということは体からの不調のサインのケースもあるということですね

 佐藤 その通りです。耳や神経、その他の不調などで音に対する感覚が敏感になることで、普段は意識しない刺激を耳鳴りとして感じます。耳鳴りはストレスや睡眠不足、気圧の変化などの環境要因で起こる一時的な場合もあれば、病気の発症に伴い現れる場合があります。

 ――なぜ、気圧の変化やストレスで耳鳴りが起こるのですか

 佐藤 体は気圧や気温、湿度など小さな環境変化にも反応します。例えば、気圧が下がると体内の水分量も変化し、むくみやすくなる人がいます。通常は感覚器官から得た情報に応じ、自律神経系や内分泌系が体のバランスを保っています。しかし、生活習慣の乱れや外的要因で、調整機能に影響が出ると、なにかしらの症状が出る。その中で「耳鳴り」として症状が出る人がいるわけです。

 ――具体的にどういう病気が耳鳴りという症状を起こしますか

 佐藤 比較的多いのが突発性難聴です。突然、片耳が聞こえにくくなり、耳鳴りを伴うことがあります。治療が遅れると聴力低下が残る可能性があるため、早めの対応が重要です。発症日が特定できるほど急に出るのが特徴です。ほか、同時に耳の痛みがあれば中耳炎、めまいがあればメニエール病などが疑われます。まれに腫瘍が聴神経を圧迫し、耳鳴りを起こすこともあります。

 ――ほかにはありますか

 佐藤 血管系の病気による耳鳴りもあれば、うつ病や不安障害など精神科・心療内科領域の状態と関連する場合もあります。また加齢性の耳鳴りは非常に悩まれている患者さんが多いですね。難聴とともにゆっくり進行するのが一般的です。耳鳴りは様々な状態を総合して診断する必要がある症状です。たかが耳鳴りと放置しないでください。