【1・5時間博物館・江東区深川江戸資料館】大きな博物館と違って見学時間の長さも入館料も超お手軽! 90分で見学できる都内の博物館を紹介する東スポらしからぬ企画「1・5時間博物館」の第2回目となりました。今回は江戸の町並みを再現した展示室が特徴の「江東区深川江戸資料館」を再び〝博物館大好き記者〟がご紹介します。

行ってきました!
行ってきました!

 今回訪れた江東区深川資料館は清澄白河駅から徒歩3分の場所にあります。当日解説していただいた職員さんによると、最近はおしゃれなお店がどんどん開店して、博物館周辺が〝アツい〟場所になっているそうです。さらに昨今のインバウンドブームで外国人の方もかなり多め。江戸の雰囲気を体験したいということで、団体で来られる方もいらっしゃるといいます。

 入場料を払って、まずは導入展示室へ。こちらでは伊能忠敬、佐久間象山など、日本史に必ず登場する歴史上の人物が江東区で活動し、居住していたことが説明されています。われらが東スポも一応江東区にあり、ほんの少し鼻が高くなりました。

 その展示室を抜けると、私の目に江戸後期そのままの町並みが飛び込んできました。そう、これこそがこの資料館の常設展示であり、また最大の魅力でもある、再現された江戸時代後期の深川です!

かつての深川の町並みが!
かつての深川の町並みが!

 ワクワクしながら階段を降りると、そこに待っているのは町のメインストリート。干鰯問屋や八百屋が店を構える通りは早くも〝江戸感〟がMAXでした。

 特に八百屋「八百新」さんは品揃えが豊富。小松菜やニンジンといった野菜から、漬物・こんにゃくに代表される加工食品、さらにはお惣菜まで売られていた、いわば150年前のコンビニです。時代劇から引っ張り出してきたようなお店をのぞくだけでも、ちびっ子にとっては楽しいでしょうね…!

現代の八百屋さんとはまた違う風情がありました
現代の八百屋さんとはまた違う風情がありました

 さらに、水辺のエリアでは、宴会もできる小料理屋のようなお店「船宿」や、当時の水上タクシーとしての役割を果たしていた船「猪牙舟(ちょきぶね)」も完全に再現。江戸っ子たちがちょっと一杯引っかけていた通りの活気がうかがえます。

船宿が立ち並ぶ通りは情緒たっぷりです
船宿が立ち並ぶ通りは情緒たっぷりです

 ここでは壁に青空や雲や雷を表す照明が映し出され、1日の移り変わりが表現されているのも見どころです。展示室の屋根も開閉し、15分周期で部屋全体の雰囲気が目まぐるしく代わっていく光景はなかなかにダイナミック! そのような仕掛けがありつつも、建物の中をのぞき込みたくなる没入感とのバランスは取れており、見学に支障は出ません。この辺りも本当に絶妙ですね…!

 そして町のシンボル、火の見やぐらの前には天ぷらやそばの屋台が並ぶ広場が。こちらは火除け地といって、火事の際に延焼を防ぐためのスペースだったとか。土日には落語や浄瑠璃等の伝統芸能が披露されているので、興味がある方は公式HPを要チェックです。

火の見やぐらの前には屋台が並んでいました
火の見やぐらの前には屋台が並んでいました

 そして最後に訪れた長屋は輪をかけてリアルでした! 各部屋の住民には年齢や家族構成がしっかりと設定されており、その生活に沿った小物や家具が置かれています。その一方、来館者の想像を邪魔しないように人形は置いてないとのこと。この辺りの配慮も〝シブい〟です。

 特に私が気になった住人は於し津(おしづ)さん。お部屋を見る限りは、かなりしっかりした30代女性という印象です。ちなみにおしづさんは三味線や読み書き、裁縫の先生をしていたという設定。教養があるのは元々武家の生まれだからだそうです。お嬢さんだった方がなぜ狭い長屋の一室に住んでいるのか、考えるだけで複雑な人生の香りがします…!

於し津さんの部屋は整理整頓されていました
於し津さんの部屋は整理整頓されていました

 また、棒手振(天秤棒をかつぎ、あさりやしじみのむきみを売る仕事)をしていた政助さんの家は1部屋だけ板張り。フローリングなのかなとも思いましたが、実は畳を買うお金がないために床が見えてしまっているとのこと。「いつか畳に寝るぞ」と思いながら仕事にはげむ政助さん、ちょっと応援したくなりますね。

 そして、地味ではありますが、注目すべき点は長屋共有のゴミ箱。とてもゴミの量が少ないんです。こちらは江戸の人々の〝物を最後まで使う精神〟が影響していると職員さんは説明します。確かに展示室では「古裂(こぎれ)」と呼ばれる古い布が、町角で売られている様子も再現されていました。この無駄のない生き方は、SDGsが注目される現代の自由研究には持ってこいかも知れません。

 最後に職員さんは、「時代は切り離せるものではないので、江戸があって今の生活があるということを感じてもらえたらいいですね」と総括されていました。テーマパーク的な楽しみ方ももちろんできる資料館ですが、それだけではもったいないというもの。ご先祖様が生きていた時代を深く体験し、当時を想像しながら今に通ずる「エコ意識」を学べる施設として、一度足を運んでみてはいかがでしょうか…!

【江東区深川江戸資料館】東京都江東区白川1―3―28。清澄白河駅から徒歩3分にある江戸時代を学べる資料館。開館時間は9時半から17時まで(最終入館は16時半)。休館日は第2・第4月曜日、年末年始、臨時休刊日(展示替え等)で、入館料は大人が400円、小・中学生は50円。

 公式HPは【https://www.kcf.or.jp/fukagawa/】。