J1福岡に頼もしい男が帰ってきた。今夏、名古屋グランパスから期限付き移籍で約2年半ぶりに復帰したDF三國ケネディエブス(26)だ。かつては若手だった福岡で、今度は中堅としてチームを引っ張る立場を担う。「少し早いけど帰ってきました!」という加入時の言葉に込めた思いとは――。名古屋での経験や福岡復帰への思い、今季に懸ける覚悟、2児の父としての一面など、ピッチ内外の素顔に迫った。

取材に応じるDF三國ケネディエブス
取材に応じるDF三國ケネディエブス

 ――アメリカで生まれ、東京で6人きょうだいの中で育った少年時代を振り返ると

 三國 活発で、やんちゃ坊主と言われていました(笑い)。6人きょうだいの次男で、上に兄、下に妹2人と弟2人がいる。母が日本人で父がナイジェリア人。アメリカで生まれたけど、すぐ日本に戻ってきたので住んだことはない。サッカーは7歳の時に兄の影響で始めました。

 ――兄を追って青森山田中へ進み、高校2年時にはFWからセンターバックへの転向を自ら申し出た

 三國 兄が青森山田でサッカーをやっていて「俺も選手権に出たい」という気持ちが強かった。中学3年ではFWとして全国大会で得点王になったけど、高卒でプロになるにはFWでは限界があるなと思った。高校2年ぐらいで試合に出ないとプロになるのは厳しいと思い、黒田(剛)監督に自分から連絡してセンターバックにチャレンジしました。青森山田では礼儀や努力など、サッカーの前に人間的な部分を教わりました。

 ――2019年に福岡入り。23年オフには契約延長のオファーを断り、名古屋へ移籍した

 三國 福岡に入った頃はセンターバックとしての経験値が足りず、ポジショニングや声の出し方も分かっていなかった。同じ環境にいると甘えてきちゃう部分がある。栃木へ期限付き移籍した時に、環境を変えることが成長につながると痛感したので、レベルアップするために福岡の延長オファーを断りました。

 ――名古屋で得たものは

 三國 1年を通して試合に出るのが初めてで、センターバックとしての経験値や1年間戦うための体づくり、コンディショニングにも気を使うようになった。やっとプロとして土俵に立てたかなと思います。一方でディフェンスリーダーとして「自分がやらなきゃ」と背負い込み過ぎた時期もあり、人に頼ることも覚えました。

 ――今夏の福岡復帰で「少し早いけど帰ってきました!」とコメントした真意は

 三國 いずれ戻ってきたいと思っていたけど、もっとレベルアップしてからのつもりだったので「少し早い」です(笑い)。名古屋ではレベルの高い選手たちの中でもまれて成長するという考えだったけど、今回は若いチームで自分はもう中堅。引っ張られる側ではなく、頼もしい存在になれるように成長しないといけないという思いで帰ってきた。

 ――今季を「サッカー人生の分岐点」と位置付けている

 三國 26歳で名古屋で試合に出られず、今回レンタルで来ている。ここで力を証明できないと、名古屋に帰っても試合に出られないと思うし、福岡が完全移籍で獲得する流れにもならない。今年は勝負の年。高さ、スピード、対人という武器を出しながら、90分間集中してチームを引き締められるセンターバックになりたい。3年前より集中力や体力、ポジショニングは成長していると思う。

 ――J1優勝を実現するために必要なものは

 三國 組織力だと思う。いくらすごい選手がいても、組織力がないと優勝はできない。福岡はチームで守ってカウンターを決めたり、全員で戦えるチーム。あとはセットプレー。センターバックが点を取れるチームは強いので、自分も得点を増やしたい。

すでに2児の父でもあるDF三國ケネディエブス
すでに2児の父でもあるDF三國ケネディエブス

 ――3歳の長男と2歳の長女の父親。子育てで感じることは

 三國 ホームの試合は毎回見に来てくれて、名古屋とアビスパのマークを見たら言えます。上の子は左利きなので、結構いい選手に育つかな(笑い)。一番大変なのは歯磨き。「仕上げやるよ」と言っても逃げます(笑い)。でも寝顔はめっちゃかわいいですね。

 ――夫婦2人で過ごす時間も

 三國 子供をインターナショナルスクールに預けた後、この前は妻とキャナルシティで映画を見てランチしました。「キングダム」は時間が合わず「ブルーロック」を見ました。妻がイタリアンを予約してくれていたのに、僕が急に肉を食べたくなって(笑い)。妻も「全然いいじゃん」と。結局、ウルフギャングで400グラムのヒレを食べました。

 ――F1観戦が趣味で「グランツーリスモ7」にも熱中している

 三國 F1ドライバーの角田(裕毅)君が同い年で、去年の10月ぐらいにF1を見て「面白い」となった。PS5とハンドル、アクセルも買って、レーサーになった気分でやっています。鈴鹿をGr.3の車で走って、ベストは2分3秒ぐらい。目標は2分ちょうどに近づけること。コンマの勝負なので、3秒削るのは相当難しいですね。

 ――ファンから何と呼ばれたいか。自宅のこだわりは

 三國 「キング」と呼ばれたいですね。ゲームの名前も全部「キング三國」。アビスパにはキング城後(寿)さんがいるので、その後釜というか、僕もちょっと偉大になろうかなと(笑い)。自宅はリビングが32畳あります。名古屋では16畳ぐらいだったけど、子供が遊べる広いところを探していたら32畳があった。想像以上に広いです(笑い)。

 ――将来の夢は

 三國 35歳までサッカーをやりたい。一流のセンターバックになって、日本代表も目指している。目標はアーセナルのブラジル代表DFガブリエウ・マガリャンイス。情熱やパッションがあって、ポジショニングやビルドアップも一流なので。あとは「億万長者」(笑い)。投資も勉強しているので、10年後が楽しみです。

 ――今シーズンへの決意を

 三國 チームは6位以上を目指していますけど、個人的にはJ1優勝が一番の目標。達成できなくても、過去最高の順位をたたき出せれば、帰ってきて良かったと思える。そこを目指したい。

 ――最後にファン・サポーターへ

 三國 少しでも成長して帰ってきた姿を見せたい。より多く会場に足を運んでもらって、その姿を見て応援していただけるとうれしいです。

古巣復帰で燃えているDF三國ケネディエブス
古巣復帰で燃えているDF三國ケネディエブス

 ☆みくに・けねでぃえぶす 2000年6月23日生まれ、米国出生、東京都東村山市育ちの26歳。DF。193センチ、85キロ。NOBIDOME FC、青森山田中、青森山田高を経て19年にアビスパ福岡へ加入。21年に栃木SCへ育成型期限付き移籍し、22年8月に福岡へ復帰。24年に名古屋グランパスへ完全移籍し、同年のルヴァン杯優勝を経験した。26年6月に期限付き移籍で福岡へ復帰。背番号20。