「廃虚マニア」2人が書類送検された。岐阜県警下呂署は2日、岐阜、愛知両県で廃虚となった病院など計8か所に侵入したとして、建造物侵入の疑いで、いずれも廃虚マニアを自称する名古屋市の男性(30)と長野市の男性(26)を書類送検した。2人は「廃虚の中を見たかった」と容疑を認めているという。
書類送検容疑は1~6月、両県の廃業した病院や研究所、薬局などに侵入した疑い。
6月11日未明、岐阜県下呂市金山町の廃業した病院の敷地に、塀を乗り越えて入る2人を目撃した通行人から県警に通報があった。駆けつけた警察官が2人を発見し、その後、任意で事情を聴いていた。
廃虚マニアの人数が増えていることを示す公的な統計はないが、SNSの普及によって廃虚趣味の裾野は広がっている。日本では1990年代からインターネットを通じて廃虚の写真や情報が広まり、2000年代には関連書籍も登場。現在はSNSで〝映える廃虚〟を撮影・共有する文化へと発展している。人気の廃虚写真家の中には、SNSで10万人を超えるフォロワーを持つ人もいる。
今回の事件でも、2人はSNSを通じて知り合った廃虚マニアで、スマートフォンなどから100点以上の廃虚写真が見つかり、その一部をSNSに投稿していたという。
ある廃虚マニアは「廃虚の魅力は、何といっても退廃美です。剥がれた壁、割れた窓、さびた鉄、朽ちた木材など、新品にはない美しさがある。さらに年月を重ね、雨風や植物によって姿を変えていく。ワインのように時間によって〝熟成〟し、人間が造った建物を自然が少しずつ作り直していくところに魅力を感じます」と指摘する。
さらに「廃ホテルや学校、病院などに家具や看板が残っていると、そこだけ時間が止まったように感じます。かつてどんな人がいて、最後の日に何があったのかを想像する余白もある。立派な建物でも人が去れば朽ちていくという〝無常〟も魅力です。廃虚は単なる壊れた建物ではなく、時間と自然が作り上げた作品だと思います」と説明する。
現在、「軍艦島」や「摩耶観光ホテル(通称・マヤカン)」のように、保存・活用され、観光資源となった有名廃虚もある。一方、廃虚マニア界わいで知られた「迦楼羅山荘(通称・カローラ山荘)」など、多くの〝優良物件〟は取り壊されている。
別の廃虚マニアは「カローラ山荘は建物の廃れ具合も良かった優良物件でした。取り壊されてしまったのは、ユーチューバーの影響もあったと思います。彼らが建物の中に入って映像を撮り、それを『東北最凶心霊スポット』などとうたってネットで配信した。すでに廃虚にはなっていますが、所有者がいるわけですよね。その人からしたら、たまったものじゃないと思いますよ」と語る。
廃虚にはマニアを引きつける多くの魅力がある。ただし、使われなくなった建物であっても、所有者や管理者がいる。許可なく敷地や建物内に立ち入れば、建造物侵入などに問われる可能性がある。












