新日本プロレス真夏の祭典「G1クライマックス」12日浜松大会のAブロック最終公式戦で、IWGPヘビー級王者の辻陽太(32)がジェイク・リーから6勝目。同ブロック1位で準決勝(15日、両国)進出を決めた。史上3人目となるIWGP王者としてのG1制覇へ突き進む辻の刺激となったのが、ノアでGHCヘビー級王者となった内藤哲也の存在だ。復活を遂げた制御不能のカリスマへのメッセージとは――。

 場外乱闘時に無理やり口元にペイントを施された辻だったが、ジェイクのFBSを回避するとファイヤーブラスターを発射。頭部をコーナーに打ちつける強烈な一撃で3カウントを奪い「やれるだけのことはやったな。あとは結果を待つだけだ」と胸を張った。

 その思いが通じたのか、Aブロックは辻、大岩陵平、KONOSUKE TAKESHITA(竹下幸之介)の3人が勝ち点12で並び全公式戦が終了。3者の直接対決の結果、辻が1位、大岩が2位で突破となった。辻は1995年大会の武藤敬司、2000年大会の佐々木健介以来、史上3人目となるIWGP王者としてのG1制覇へ、あと2つと迫った。

 快挙へ向け突き進む王者には、刺激を受ける出来事があった。昨年5月まで「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」で共闘した内藤が、一時の〝限界説〟を覆し9日のノア後楽園大会で同団体最高峰のGHC王座を奪取。「王者になったことは心からお祝いしたいですね。かつて背中を追いかけていた人物であり、一緒に戦った仲間ですから。倒れてから立ち上がる姿を見せるのがレスラーですから、まさにプロレスラーを体現している人なんじゃないかなと改めて尊敬の念を抱きました」と復活劇を称賛した。

 その一方で主張すべきところは主張する。内藤はシングルリーグ戦「N―1 VICTORY」(9月12日、後楽園で開幕)には出場せず、10月25日両国大会で優勝者とV1戦を行うことが決定。新日本の10月12日両国大会が昨年同様にIWGP王者とG1覇者による頂上決戦となることを見越した上で「同じようなシチュエーションで両国大会をやれば、今現在の新日本とノアの差が〝観客動員数〟で、はっきりと表れるはず」という狙いを明かしている。

 これに対し辻は「僕がG1を優勝すればその構図は崩れてしまうということは、簡単に思いつくはずなので。あれほどプロレスを考えている人がどうしたのかなって」とごもっともすぎる指摘。「観客動員を比べるとか、回りくどいことはしないでいいんじゃないかな。新日本から出ていって、ライバル意識を持って、ノアをナンバーワンにしたいなら戦うのが一番手っ取り早いんじゃないですか。王者である俺に挑戦状を叩きつけてくればいいんじゃないですか?」と〝直接対決〟を呼びかけた。

 くしくも辻はG1制覇後の青写真として他団体勢との頂上対決を見据えていた。「IWGP戦はふさわしい相手とシチュエーションでなければやらないという考えは変わりません。でも歴代IWGP世界王者であり、ノアの王者になった内藤さんと新日本のリングで戦うというなら、喜んでいつでも受けて立ちますよ」。日本マット界の頂点をかけた制御不能な大一番が実現するのか、目が離せなくなってきた。