サッカーの北中米W杯準々決勝(11日=日本時間12日、米国マイアミ)、イングランドが延長戦の末に2―1でノルウェーを撃破したが、前半アディショナルタイムに生まれたイングランドの同点ゴールの直前に、ボールが上方カメラのケーブルに接触したと大きな波紋を呼んでいる。多くの〝証拠〟が提示されており、ボールセンサーがケーブルとの接触を見逃したとして疑惑の目が向けられている。

 前半アディショナルタイムに、ノルウェーGKエルヤン・ニラン(セビリア)のゴールキックがピッチ上方に設置されたカメラのケーブルに当たってしまい、弾道が変化。するとボールはイングランドのFWハリー・ケイン(バイエルン・ミュンヘン)のもとに落ちてくるラッキーな展開に。すかさずカウンターに入り、MFジュード・ベリンガム(レアル・マドリード)の同点ゴールが生まれた。

 ノルウェー側は直後に猛抗議したが、審判団は一切認めず、ビデオアシスタントレフェリー(VAR)による映像チェックも行わなかった。その後、国際サッカー連盟はその理由について、今大会から導入されているコネクテッドボールテクノロジー(CBT)でボールに埋め込まれたセンサーが反応しなかったとのデータを公開。ボールがワイヤーに触れた確証が得られなかったとの声明を発表した。

 しかし、そもそも目視で確認できるほど弾道が変わっており、米放送局「FOX」、米スポーツ専門放送局「ESPN」、英公共放送「BBC」など欧米各国の大手メディアが検証の動画や画像を公開。ボールの軌道が変わっているため接触はあり、規則により試合はその時点で中断されるべきだったとの主張が次々と展開されている。

 当然、ボールセンサーそのものの信頼性に疑惑の目が向けられる事態に発展。そして、物議を醸したクロアチアの〝幻の劇的弾〟にも再び脚光が当てられている。

 インドメディア「タイムズナウ」は「FIFAは厳しい疑問に直面している」と提起した上で「FIFAの説明では状況は解決しておらず、CBTに関するいくつかの重大な疑問が残っている。ビデオのリプレーではボールがワイヤーに触れているように見える。クローズアップ映像では決定的な判断はできないものの、ボールが明らかに方向を変え、急激に着地している。BBCの3Dリプレーでも、ボールの軌道が着地前に揺れていることが示されている。さらにノルウェーの選手とスタッフは、リプレーが公開される前からボールがカメラワイヤーに触れたことを指摘しており、この異常な動きは肉眼でも確認できたことを示唆している」とボールセンサーの信頼性に疑問を呈す。

32強のポルトガル戦で、主審に抗議するクロアチアのMFモドリッチ(ロイター)
32強のポルトガル戦で、主審に抗議するクロアチアのMFモドリッチ(ロイター)

 そして「これにより、CBTの信頼性について再び疑問が生じ、ポルトガル対クロアチアのラウンド32の試合に再び注目が集まっている。ヨシュコ・グバルディオルが103分(90+13分)に同点ゴールを決めた。しかし、ビルドアップ中にイゴール・マタノビッチの髪の毛が触れたことを検知し、ゴールはオフサイドと判定され、クリスティアーノ・ロナウド擁するポルトガルが2―1で勝利した」と、ボールセンサーのデータにより土壇場の同点弾が取り消されたクロアチアに対する判定も疑わしいと指摘。「今日の出来事によりCBTの信頼性、そして初めて公に使用された際に正しく運用されたのか、クロアチアがチャンスを失う結果となったのかといった疑問が提起された」と論争を呼んでいると強調した。

 北中米W杯は最新テクノロジーに翻ろうされる大会となっている。