「選ばれなかった男」が球宴前の主役になりかけている。米メディア「ヘビー」は8日(日本時間同日)、フィリーズのザック・ウィーラー投手(36)がMLBオールスター戦(14日=日本時間15日、フィラデルフィア)のメンバーから漏れた問題を取り上げた。焦点は単なる落選の悲哀ではない。今季の選考過程や基準のあいまいさが、例年以上に浮き彫りになっているという点だ。

 ウィーラーは7日(同8日)のレッズ戦で7回を無四球、14奪三振と圧倒し、防御率2・27をマーク。これは今季80イニング以上を投げたナ・リーグ先発投手ではトップ5に入る圧巻の数字だ。ところが、MLBが5日(同6日)に発表した球宴メンバーに名前はなかった。

 波紋を広げているのは、その理由だ。ポール・スキーンズ投手(24=パイレーツ)、ジェイコブ・ミジオロウスキー投手(24=ブルワーズ)、マックス・マイヤー投手(27=マーリンズ)が球宴直前の12日(同13日)に登板予定で、代替選手をめぐる調整が発生。フィリーズからは最終的にヘスス・ルザード投手(28)が追加選出され、MLB最多の6人が名を連ねたが、より実績で上回るはずのウィーラーは置き去りにされた。

 チームメートのカイル・シュワバー外野手(33)も黙っていない。地元局「NBCスポーツ・フィラデルフィア」の試合後番組で「本当に残念だ。去年もそうだったし、今年も同じだ」と不満を口にし、たとえ出場できなくても「ザックにも選出の肩書を与えてほしい」と訴えた。実際、負傷や登板間隔で出場できない選手が、いったん選出された上で代替選手と入れ替わるケースは珍しくない。ならば、なぜウィーラーだけがその栄誉から外されたのか、という疑問が残る。

 しかも今回は、フィリーズの本拠地シチズンズバンク・パークで開催される球宴だ。2020年から球団を支えてきた右腕にとって、地元ファンの前でたたえられる機会は特別だったはず。前出の「ヘビー」は、昨年もクリストファー・サンチェス投手(29)が選外となった一件を重ね、フィリーズ投手陣への冷遇が繰り返されていると指摘した。

 スターの祭典であるはずの球宴が、今年は「誰を選ぶべきか」という根本論に火をつけている。成績なのか、出場の可能性なのか、話題性なのか。ウィーラーの落選は、MLBが自らの選考基準を説明し切れていない現実を映し出している。