低迷の雲を切り裂く2つの星が、ラスベガスへ向かう球団の羅針盤になる。米老舗誌「スポーツ・イラストレイテッド」の電子版「ON SI」は6日(日本時間7日)、アスレチックスの未来を占う存在として、ニック・カーツ内野手(23)とシェイ・ランゲリアーズ捕手(28)に焦点を当てた。チームは直近で苦戦を強いられ、今季のポストシーズン進出も楽観できない。それでも2人が14日(同15日)にフィラデルフィアで行われるオールスター戦でア・リーグの先発出場選手に選ばれた事実は、単なる名誉にとどまらない。ラスベガス移転を控える球団が「誰を中心に新時代をつくるのか」を示す号砲でもある。

 金の卵と呼ぶにふさわしいのがカーツだ。昨季のア・リーグ新人王はメジャー2年目でさらに進化し、打率2割7分8厘、20本塁打、66打点。出塁率4割2分4厘、OPS0・949はリーグ屈指で、四球76もメジャートップ級だ。しかも球宴ではファン投票1位だったウラジミール・ゲレロ内野手(27=ブルージェイズ)が出場を辞退したことで、選手間投票で同ポジション最高評価を受けていたカーツに先発の座が回ってきた。数字だけでなく、敵味方を問わず現場から認められた証しでもある。

 ランゲリアーズも価値を跳ね上げた。今季は打率2割6分4厘、20本塁打、OPS0・822をマークし、ア・リーグ捕手では本塁打数でトップ。ファン投票の最終段階ではアレハンドロ・カーク捕手(27=ブルージェイズ)を65%対35%で退けた。アスレチックスの捕手が球宴で先発するのは1989年のテリー・スタインバック以来で、球団捕手の選出自体も2016年のスティーブン・ボート以来。強打の捕手という希少性は、他球団がノドから手が出るほど欲しがる資産そのものだ。

 だからこそ問題は「どう勝つか」と同時に「どう守るか」になる。カーツは31年まで球団保有権下にある一方、ランゲリアーズは28年オフにFAとなる。2人の代理人は敏腕で知られるスコット・ボラス氏で、球宴先発の肩書は交渉額を押し上げかねない。サクラメントを暫定本拠地とし、ラスベガス移転へ進むアスレチックスにとって2人のスター候補を死守し、その周囲に戦力を集められるかが球団再生の分岐点となる。