愛娘の存在は偉大だ。レスリングの明治杯全日本選抜選手権(東京スポーツ新聞格技振興財団協賛)初日(21日、駒沢体育館)、男子グレコローマン63キロ級は、同60キロパリ五輪金メダルの文田健一郎(30=ミキハウス)が決勝進出。約1年9か月ぶりの実戦で存在感を示した。
準々決勝でバッティングにより左まぶたを切ったが「本当によくある。初心に返っている感じ」と問題なし。準決勝でも貫禄の戦いを披露した五輪王者は「すごく神経を研ぎ澄ませてやってきた。すごく気持ち良く、楽しく試合ができている」と頬を緩めた。
この日は妻と2人の娘が会場に訪れ、客席からは「パパ頑張れー!」の声が響いた。愛いっぱいの声援を力に変えた父は「子供がいる中で現役をする、勝つのはすごく特別で大事なこと。今回は(勝利を)見せたい思いが一心にあった。まだ1歳だけど、次女も気づいていた。やっぱりレスリングをやっていてよかったなと思う瞬間だった」と親心をのぞかせた。
試合後には娘の声掛けに笑顔で手を振り返すシーンもあった。ロサンゼルス五輪での連覇へ、再スタートを切った一家の大黒柱は「やっぱり出るからには一番になりたい。どんな大会でも、どんな場面でも、どんな内容でも一番になりたい」。いばらの道へ飛び込む覚悟は固まった。












