総監督の言葉に結果で応えた。無差別級で争われる柔道の全日本選手権(26日、東京・日本武道館)決勝が行われ、90キロ級元世界王者の田嶋剛希(28=パーク24)が、同級世界王者の村尾三四郎(25=JESエレベーター)に優勢勝ちで初優勝。90キロ級以下の選手による制覇は2012年の加藤博剛以来14年ぶりとなった。

 残り12秒だった。序盤から村尾のペースで試合が進むも「無我夢中でとっさに出た技だった」と、隅返しで技ありを奪って日本一の座を引き寄せた。「遠距離恋愛的なすごい遠いライバルになってしまっているので、やっと戦えた、やっと勝てたというのが大きかった」と歓喜に浸った。

 国士舘中・高、筑波大を経て2020年から現所属先に加入。バルセロナ五輪78キロ級金メダルの吉田秀彦総監督は取材に対し「(国際大会と)ルールは違うけど、全日本を取るのは本当に大変。試合前には『俺を抜けよ』と話していた。2、3位はあるけど優勝はなかったので。だから実現してくれてよかった」と褒めたたえた。

決勝では同じ階級の村尾三四郎(左)と激戦を見せた田嶋剛希
決勝では同じ階級の村尾三四郎(左)と激戦を見せた田嶋剛希

 新たな勲章を手に入れた田嶋だが、28年ロサンゼルス五輪の90キロ級は、村尾との激しい代表争いが予想される。世界選手権(10月、アゼルバイジャン・バクー)は田嶋と村尾の2選手を派遣。吉田総監督は「今回勝ったことで(代表争いが)混沌としてきたけど、世界選手権があるので、そこでまた勝たないと次は見えてこない」とハッパをかけた。

 今後も厳しい道のりが続くことは、田嶋自身もよくわかっている。この日の勝利は「番外編ですね」と気の緩みはなし。夢舞台への道は誰にも邪魔させない。