ドジャース・大谷翔平投手(31)が開幕前最後のマウンドで規格外の存在感を示した。24日(日本時間25日)の本拠地エンゼルス戦で先発し、11奪三振の〝圧巻投球〟。今季初先発は31日(日本時間4月1日)の本拠地ガーディアンズ戦となる予定だ。だが一方で第6回WBCでの侍ジャパン準々決勝敗退は、ワールドシリーズ(WS)3連覇を狙うドジャースにも不穏な影を落としている。その深層とは――。

 初の〝ベスト4逸〟という結果に終わった侍ジャパンは、決戦の地マイアミで解散した。各選手は所属先へ戻り、大谷もアリゾナのキャンプ地を経てロサンゼルスへ帰還。開幕前最後の実戦では古巣のエンゼルスを相手に「1番・投手兼DH」で先発し、2回から4回にかけて打者9人連続三振。4回0/3を投げて86球、4安打3失点ながら11奪三振と、二刀流完全復活へ向けて強烈な存在感を刻みつけた。

 もっとも、ドジャースを巡る視線は明るい材料ばかりではない。チームの最大目標は21世紀初となるWS3連覇だが、今回の侍ジャパン敗退が不吉な前兆ではないかとみる向きもある。その背景にあるのが、山本由伸投手(27)がここ数年まとってきた神がかり的な〝勝ち運〟だ。

 球界関係者の間では今大会前から「どんなに米国やドミニカ共和国がスターをそろえても、侍には山本がいる。由伸が行く先々でそのチームは勝つ。大谷ばかりが注目されるが、由伸は守り神のような存在だ」との声が出ていた。

 実際、山本が近年所属したチームは侍ジャパンも含め結果を残し続けてきた。NPB時代のオリックスでは2021年からリーグ3連覇を達成し、23年には日本一まで駆け上がった。同年のWBCでも世界一メンバー入り。海を渡ったドジャースでも24年は故障離脱がありながら頂点に立ち、昨季もまた世界一に到達した。野球はチームスポーツであり、個人の力だけで勝敗を支配できるものではない。それでも山本は、常に最後の勝負どころへたどり着く側にいた。

 だからこそ、今回の敗退は小さくない。日本は3月14日(同15日=ローンデポ・パーク)の準々決勝でベネズエラに5―8で逆転負けを喫し、6大会目で初めてベスト4進出を逃した。この試合で先発した山本は、先頭のアクーニャ(ブレーブス)にいきなり先頭弾を浴びるなど4回2失点。結局、これまで数々の伝説を築き上げてきたタフネス右腕はWBC決勝のマウンドに降臨しないまま終わった。とうとう神通力にも陰りが差したのか。そんな見方が出るのも無理はない。

 それでも、コンディション的に山本自身は万全に近い状態で開幕を迎えられそうだ。開幕前最後の調整登板となった20日(同21日)のパドレスとのオープン戦では5回無失点、7奪三振と快投。26日(日本時間27日)の開幕戦では本拠地でダイヤモンドバックスを相手に、2年連続で先発マウンドを任される。大谷もその次のカード、開幕5戦目で今季最初の登板に向かう。侍ショックの余波を引きずるのか、それとも2人の日本人スターが一気に空気を塗り替えるのか。ドジャースの新シーズンは、いきなり「重い十字架」を背負って幕を開ける。