早くも暗雲だ。大相撲春場所4日目(11日、大阪府立体育会館)、綱取りに初めて挑む大関安青錦(21=安治川)が幕内美ノ海(32=木瀬)に寄り倒されて痛恨の取りこぼし。序盤で2敗目を喫し、今場所後の横綱昇進に黄信号が点灯した。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(42=本紙評論家)は、安青錦の相撲内容を徹底分析。これまで安定感抜群だった大関の〝異変〟を指摘した。
痛恨の黒星だ。安青錦は突き放して前に出たが、美ノ海に回り込まれてもろ差しを許すと形勢逆転。たまらず引いて呼び込み、最後は寄り倒された。取組後の支度部屋では「また切り替えて明日、思い切り頑張りたいと思います。ありがとうございました」とだけ話し、珍しく自分から取材を打ち切った。これまでなら負けた後でも淡々と対応していただけに、ショックの大きさをうかがわせた。
この日の取組で審判長を務めた粂川親方(元小結琴稲妻)は「(序盤で2敗は)もちろん痛い。綱取り? それは厳しいでしょうね」との認識を示した。年6場所制となった1958年以降に誕生した横綱は31人。昇進直前の場所で5日目までに2敗した力士は、朝汐1人しかいない。序盤で早くも正念場を迎えた格好だ。
この日の相撲内容について、秀ノ山親方は「安青錦の相撲は相手の攻めを低い姿勢で受けながら、うまく下から起こして自分の形に持ち込むのが必勝パターン。突き放しにいくことによって、逆に相手が自由に動ける隙間が生まれてしまった。もともと押し相撲だけで一気に持っていくタイプではない。慌てて攻め急いでしまっている印象」と分析する。
これまでは壁にぶつかることもなく、一気に番付の階段を駆け上がってきた。昨年11月の九州場所では初優勝と大関取りを同時に果たし、1月の初場所は新大関で連覇を達成。今回の序盤でのつまずきは、やはり綱取りの重圧なのか。秀ノ山親方は「それもあると思う。常に淡々と勝負に臨んでいた安青錦のリズムが崩れて、結果を求めにいっているように見える」と〝異変〟を指摘した。
データ上は厳しい状況とはいえ、まだ賜杯の望みまでがなくなったわけではない。この日は横綱大関陣が総崩れとなり、優勝ラインは下がりそうな雲行き。過去0勝4敗と〝天敵〟にしていた横綱大の里(25=二所ノ関)も左肩の負傷で途中休場となった。逆転Vへ向けて、秀ノ山親方は精神面の立て直しが何よりも重要とみている。
「これも試練。綱取りの場所では心技体、あらゆるものが問われる。特に大事な部分は精神面。いったん綱取りへの思いは胸の奥にしまって、勝っても負けてもクールな安青錦本来の姿を取り戻してほしい。お客さんも安青錦の相撲を楽しみにして見に来ている。目の前の相撲だけに集中すれば、道は開けてくるはず」と力説した。
安青錦は、ここから巻き返すことができるのか。残りの戦いで真価が問われることになりそうだ。












