イランへの攻撃を巡って、トランプ米大統領のコメントが波紋を広げている。9日の記者会見で「非常に近いうちに終わる」と早期の終結に言及したものの、その直後に「まだ十分には勝っていない」と攻撃の続行を示唆。さらには自身のSNSで「もしイランが石油の流れを止めれば、20倍の力で報復し、死と炎と怒りを降り注ぐ!」とぶちまけているのだ。なぜ発言に一貫性がないのかというと――。
トランプ氏による正式な会見は、米イスラエルによる2月28日の攻撃開始から初めて。会見では、これまで5000以上の標的を攻撃し、9割以上のイランのミサイル発射装置が減少したと話した。だが、戦争の長期化を否定したかと思えば、さらなる攻撃も示唆するなど、発言に一貫性がない。
実際にイランのイスラム革命防衛隊は「戦争が終わる時期を決めるのはわれわれだ」と声明を出し、何があろうと戦争を継続する意志を見せた。
米国事情通は「トランプ氏は、ハメネイ師を殺害したのにイランが降伏しなかったことに驚いているとされています。早期の終結に言及したのは、戦争の影響を懸念する側近が戦争から撤退する出口戦略を探るよう説得した事情があるようです。中間選挙を控える中、米国では歴史的にガソリン価格=政権支持率に直結します。戦争を長引かせないというメッセージを出すため、『終わる』と言ったのです。しかし、イランは核開発を放棄していないし、体制に変化が起きていない。『勝った』とは言えないのです」と語る。
また、中東の衛星テレビ・アルジャジーラによると、イスラエルはトランプ氏が戦争から撤退する〝フーシ派シナリオ〟を恐れているという。
米国は2025年、イエメンの親イラン勢力のフーシ派を外国テロ組織と認定し、攻撃した。しかし、トランプ氏は、フーシ派を壊滅させるという目標を達成してもいないのに突然、停戦を宣言した。戦争は終わったが、イスラエルにとってはイランの代理勢力フーシ派が生き延びてしまうという問題が残った。これがイランでも起こることを懸念しているのだ。
米国事情通は「米国の国家情報会議(NIC)の分析では、空爆だけでイラン政権は崩壊しないと結論を出しています。革命防衛隊と権力継承制度が強固だからです。遠く離れた米国としてはイランの核能力を削ればいいのですが、近場のイスラエルにとっては政権を打倒し、核能力を根絶しなければ問題が解決しないのです」という。
事実、殺害されたイランの最高指導者ハメネイ師の後継者に、反米強硬路線とされる次男のモジタバ・ハメネイ師が選出された。
そんな中、革命防衛隊の航空宇宙部隊司令官マジド・ムーサヴィ准将が「今後は弾頭重量が1トン未満のミサイルを発射しない」と発表したことが、世界の軍事専門家を困惑させているという。
1トンの弾頭とは、中長距離弾道ミサイルに搭載される重量となる。
軍事事情通は「米国の分析では、イランの弾薬が不足し、軽い弾頭のミサイルを大量に使うより大型ミサイルに集中するとみています。そしてイスラエルは、核弾頭の搭載が可能な大型ミサイルを使用することに対し、核兵器をにおわせる脅しと捉えているのです」と指摘している。
予断を許さない状況は続く。












