活性酸素による酸化ストレスを防いでくれる抗酸化物質。その抗酸化物質がどの程度抗酸化機能があるのかを科学的に測定できる技術が登場している。専門家に話を聞いた。
【健康づくりをアシストできる抗酸化機能測定】
神奈川歯科大学歯学部の李昌一教授は30年以上にわたって酸化ストレス分野の研究に携わってきた。
抗酸化機能の測定について「安定した再現性のある検査数値が出ることは、明確な検査数値による抗酸化機能の基準化につながって、医学界にも産業界にも寄与します。基準化は、分析や研究を助けるだけでなく、優れた抗酸化機能が証明された素材や成分を製品化できることにつながり、人々の健康づくりもアシストできることになります」と説明する。
その李教授が活性酸素を検出する最も信頼性の高い測定方法とするのがESR法である。「ESR法は、ロシアの物理学者Zavoiski氏によって発見された電子スピン共鳴という現象を使って活性酸素を測定します。現在、活性酸素を定性・定量的に測定できる唯一の方法です」と言う。
一般に活性酸素と呼ばれるが正確には種類が複数ある。その中で体に実際に産生されている「悪玉」とされるヒドロキシラジカル、一重項酸素などを検出、測定することがESR法はできる。
ヒドロキシラジカルは、活性酸素の中でも最も酸化力が強く、しかも体内では消去する抗酸化酵素がない。抗酸化物質を摂取しなければ消去できないフリーラジカルである。また一重項酸素も体内では消去する抗酸化酵素がなく、紫外線によって皮下組織に発生しやすい活性酸素である。これも強い酸化力を持っている。こうした活性酸素を捉え、どの活性酸素をどれだけ消去できたのかと定性・定量評価して抗酸化機能を評価する。
【人間の唾液でも測定可能――エビデンスにご注意】
李教授は活性酸素検出技術による抗酸化機能の受託検査を行うバイオベンチャー・バイオラジカル研究所(横浜市)のCTO(最高技術責任者)でもある。現在、世界で数社が活性酸素のフリーラジカル電子を測定できるESR装置を製造しているが、同社の信ぴょう性はトップクラスである。
なお同社の検査は試験管レベルだけでなく、動物検査、さらにはヒトの唾液で調べることができる。生体内測定では、小動物に低周波の測定マイクロ波で標的臓器の酸化ストレスを解析する。ヒトの唾液の抗酸化力で歯周病、ドライマウス、早期老化度のリスク評価を測定できるのは現在のところ同社の検査のみだ。
抗酸化機能を持つ製品を手掛けるメーカーが機能測定を受託してくるのだが、李教授によれば、ESR法によりポジティブな結果が出た場合は確実に活性酸素を退治する力を持っている証明になるため、商業主義に走る受託先などはポジティブなエビデンスだけを欲しがるそうだ。
「しかし商品の開発後になってからポジティブな結果を期待するのでは遅いんです。開発段階の原材料を測定し、確実に抗酸化機能がある素材や成分を使って製品化する必要があります。エビデンスに基づいた製品開発が大事なのです」と李教授はアドバイスする。サプリなど予防医学に貢献できる食品の開発に際して、エビデンスの充実が必要とされるのは時代の潮流とも言える。サプリを利用する側も、メーカーのうたい文句をうのみにするのではなく、確かなエビデンスかどうかを注意したいものだ。












