抗酸化物質が注目されるようになった。健康に関心のある人は「ワインにはポリフェノールが含まれている」とか「お茶にはカテキンが多い」などと、老化をもたらす活性酸素を防ぐ抗酸化物質の知識を披露する。そんな中、技術の進化により抗酸化物質がどの程度抗酸化機能があるのかを測定できるようになっている。抗酸化機能研究の専門家に話を聞いた。
【注目される活性酸素と抗酸化物質とは】
活性酸素は人間の病気や老化の主たる原因である。強い酸化力があるため、私たちの体を構成する細胞膜を酸化させて病気や老化を促進するのだ。
動脈硬化も活性酸素が関連して引き起こされる。活性酸素によって悪玉コレステロールが酸化されてできる酸化変性LDLが動脈硬化を引き起こすのだ。だから動脈硬化を予防するには悪玉コレステロールの酸化を防ぐことが重要となる。
そこで注目されるのが酸化を防ぐ抗酸化物質だ。ビタミンC、ビタミンE、カロテノイド、ポリフェノールなどが代表的な抗酸化物質とされている。
例えば野菜を食べると大腸がんが減ることが判明している。多くのがんは遺伝子が傷つけられることで発生する遺伝子の突然変異によって起きる。そして活性酸素は遺伝子も傷つける作用があるので大腸がんを引き起こす要因となる。だが、野菜に含まれるポリフェノールは活性酸素の働きを抑えてくれるのだ。
「つまり人間は、抗酸化物質を食事で摂取することで動脈硬化やがんなどの生活習慣病を予防できるわけです。活性酸素による酸化ストレスがもたらす病気や老化を、抗酸化物質の機能が抑制してくれるのです」と説明するのは抗酸化機能を数値化して測定する技術の第一人者である李昌一・神奈川歯科大学歯学部教授だ。
【本当に抗酸化の効果があるのかを測定できる】
最近は抗酸化物質に関心を持つ人々を捉えるかのように抗酸化機能をうたう健康食品、サプリなどが次々と登場してきた。そしてコマーシャルなどでは抗酸化機能に優れていることを盛んにアピールする。見聞きした人も多いはずだ。
しかし、それらの製品にどの程度の抗酸化機能があるのかと言えば、その科学的根拠は残念ながら乏しいことが少なくない。あまり科学的とは言えない調べ方で効果があるとの結果を導き出し、その結果を利用してCMや新聞広告、雑誌広告などで効果があるかのように宣伝するようなケースもあったりする。だからアンチエイジング効果をうたう商品はたくさんあるが、本当に効果があるのかという実態は玉石混交と言っていい。
そうした中で、エビデンスを重視するような健康食品や医薬品、化粧品メーカーなどが信頼しているのが李教授の持つ抗酸化機能を数値化して測定する技術である。抗酸化製品を手掛けるメーカーからの機能測定依頼を受託している。それによって自社製品の抗酸化機能を他社の競合商品と数値比較したり、あるいは製品開発の段階で自社製品の成分濃度を変化させ、濃度ごとの抗酸化機能を比較したり、温度変化による抗酸化機能を比較したりすることが可能になっている。
次回は、このESR法(電子スピン共鳴法)という抗酸化機能測定技術を紹介する。












