【F1・角田裕毅 レッドブル苦闘の日々(1)】2025年のF1シーンを沸かせた主役の一人が、レッドブルの角田裕毅(25)だ。4月の日本グランプリ(GP)から緊急昇格し、日本人ドライバーとして初めてトップチームの正ドライバーに就任。世界中から注目される中、操作が困難なマシン特性に手こずりながらも序盤は上々のスタートを切った。

 昇格後初戦の日本GPは12位にとどまったが、続くバーレーンGPで9位入賞。そして衝撃の快走を見せたのが、5月のマイアミGPだ。

 スプリント予選で18番手と低迷し、スプリントではピットレーンスタートを選択。さらにフォーメーションラップでシャルル・ルクレール(フェラーリ)がクラッシュしてセーフティーカーが入った影響で、角田は改めて最後方からのスタートとなった。

 18周の短期決戦とあって角田の巻き返しは絶望的とみられたが、ロケットスタートからまず2台をぶち抜き。ピットストップのタイミングも絶妙でさらに順位を上げると、前を走るフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)がクラッシュして9位までジャンプアップしてゴール。さらにレース後、4位のアレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ)、7位のリアム・ローソン(レーシングブルズ)、8位のオリバー・ベアマン(ハース)がペナルティーで降着処分となり、なんと角田は6位で3ポイント獲得の躍進を果たしたのだ。スプリントで最後方スタートからのごぼう抜きは極めて異例で、世界中から称賛の嵐に。サッカー界では1996年アトランタ五輪で西野ジャパンが王国ブラジルを1―0で撃破する快挙で「マイアミの奇跡」とたたえられたが、同じマイアミの地で見せた奇跡の走りに角田のレッドブルでの将来にも期待が高まった。

 決勝でも10位に入ってダブル入賞を果たしたマイアミGPを振り返り、角田も「レース週末として確実に良くなっていると思う」と手ごたえ十分だったが、次戦のエミリアロマーニャGPで一気に暗転してしまう。