【元局アナ青池奈津子のメジャー通信】話せば話すほど面白い話が出てくる人って、あなたの周りにもいないだろうか?
球界でも注目される3人兄弟の中で、いち早く大リーガーになった長男ジョシュ・ネイラー内野手。家族に料理を振る舞うことが大好きだと言うので、オフはてっきり地元に帰省するかと思いきや「家族が自分の元に来る」とジョシュ。当然「どこへ?」と聞くと「毎年、住む場所を変える」という答えが返ってきた。
過去に住んだのはサラソタ(フロリダ)、アリゾナ、カナダ、テキサス、ミシシッピ、ニューオーリンズ(ルイジアナ)、カリフォルニアなど。野球選手にとって移動は付き物だが、ジョシュは野球とは関係なく知らない街に住むことを好むという。荷物だって決して少なくない。
「大変だけど、楽しいんだ。住むことで、その街のこと、その街が本当に好きなことなどが見えてくるし、もしかしたら自分も好きなことかもしれない。僕は、人生は経験が全てだと思っているから。さまざまな文化、エリアに触れること。やれること全部を経験するのが大事だと思う。慣れ親しんだこともいいけど、同じことをいつも繰り返すのは良くない」
そんなわけで海外旅行もオフの恒例行事。昨オフの行き先はタイ、フランス、日本の3か国だった。
「日本では渋谷の公道でマリオカートに乗ったよ。最高だった。フランスではレストランの席に着いたら紙と封筒を渡されて、まず目の前にいる人に手紙を書くというユニークな場所へ。手紙が届くのは1年後。妻と互いに書き合って、オフに読み合うのが楽しみ。タイでは3日間ジャングルで過ごしてね。地元の人が竹の葉でご飯を作ってくれて…」
旅の話だけでも尽きないが、なぜその3か国だったのかとを聞いてみると「うちの犬と帽子だよ」と、ここでも思いもよらぬ答えが…。まずは行きたい国を5~10か国ほどリストアップする。3つのテニスボールに行き先を1つずつ書き、一斉に投げて愛犬がくわえて戻ってきた国。さらには帽子の中に行き先を書いた紙切れを入れ、家族や友人の誰かにランダムに選んでもらう。こうして行き先が決まったら、それぞれ2週間の計画を立て3、4か所の街を巡るという。
こうなると「どうしてそこまで〝体験〟にこだわるのか」と聞かずにはいられない。
「自分は幸いにも、世界中を旅する機会に恵まれた。15歳で韓国と中国、オーストラリア、パナマ、キューバにも行ったし、初めての日本も17歳だった。アメリカは20歳までに50州全部行ったよ」
全て野球の試合に出るためだった。「ドラフトされる前に地球の半分を見られた感じだった。16歳の時にメキシコで大地震に遭って、3日間両親と連絡が取れず、死んだと思われたこともある。4日目にようやく電話したら『よかった! 生きてたのね!』なんてことも」。ここだ。ジョシュは笑っていたが、この出来事が転機へのヒントだった。
「この話はあまりにもクレイジーでワイルドだから詳細は話したくないんだけど、インターネットはおろか、食べ物も水もない状態で、ティアワナ(国境)まで行って、オバマ大統領がファイター・ジェット(戦闘機)を出して救出しに来たんだ。僕にとって本当に印象に残る出来事で、この経験が『人生は短い』ということや『自分の人生が終わる前に何でもやりたい』ということを教えてくれたと思う」
16歳で生死に直面し、生きていたからこそ何事も全力でやる。野球も料理も旅も家族への愛も出し惜しみする理由を持たないジョシュの生き方を、来年は私も少し見習えるだろうか。
☆ジョシュ・ネイラー 1997年6月22日、カナダ・オンタリオ州出身。2015年のMLBドラフト1巡目(全体12位)でマーリンズから指名され、16年7月にパドレスへトレード移籍。17年のWBCにカナダ代表で出場。19年5月にメジャーデビュー。20年途中からガーディアンズ、24年にはオールスター戦に初選出。25年はダイヤモンドバックス、マリナーズでプレー。今季は147試合で打率2割9分5厘、20本塁打、92打点。178センチ、107キロ。












