ドジャースの山本由伸投手(27)が、来年3月の第6回WBCに日本代表として出場する見通しとなった。11日(日本時間12日)に米全国紙「USA TODAY」の敏腕記者ボブ・ナイチンゲール氏がX(旧ツイッター)で伝え、複数のMLB関係者も認めた。侍ジャパンのMLB選手では大谷翔平投手(31)に続く出場内定2号となる一方、佐々木朗希投手(24)は不出場となる。そんな山本を同僚のフレディ・フリーマン内野手(36)は「ロイ・ハラデイみたいだ」と大絶賛。なぜ〝伝説の鉄腕〟の名が重なったのか――。
山本のWBC出場決断はドジャース、そしてMLB関係者の間に小さくない波紋を広げている。この日、ナイチンゲール氏はXに「山本は本日、WBCで日本代表として投げることを確認した」と投稿。一方で、同じドジャースの佐々木については不出場の見込みであるとし、対照的な決断が浮き彫りになった。
今年のポストシーズンで連投をいとわずワールドシリーズMVPにも輝いた右腕にとって、本来であれば来春のWBCは〝休むべき舞台〟でもある。登板過多による故障リスク、来季開幕への影響を懸念する声が出るのも当然だ。実際、デーブ・ロバーツ監督(53)も「本音では出てほしくない」と公言しながらも山本との契約上、本人の意思を尊重せざるを得ない立場にあるとされる。
それでも山本は、迷わなかった。こうした姿勢にドジャースのチームメートでスーパースターの1人でもあるフリーマンは、あのレジェンドの面影を重ねている。
フリーマンはMLB公式サイトのポッドキャスト番組「The 6―1―1 Podcast」に出演し「山本はボールを正確に操るという点で、ロイ・ハラデイに似ている」と指摘。制球力で打者を支配し、派手さよりも完成度で勝負する投球術――。そこに、エースとしての矜持を見たのだろう。
ロイ・ハラデイ氏は2000年代のMLBを代表する先発投手だ。ブルージェイズとフィリーズで通算203勝。サイ・ヤング賞2度、米スポーツ専門局「ESPN」の「オール・ディケイド・チーム」(特定の10年間で最も活躍した選手たちを選び、その功績をたたえる名誉ある選考)にも選出され、17年に母国のカナダ野球殿堂入り、19年には米野球殿堂入りも果たした伝説の鉄腕として今も語り継がれている。
ちなみに松井秀喜氏(51)が現役時代の03年3月31日(同4月1日)にヤンキースでメジャーデビューを飾った開幕戦(ロジャーズ・センター)の初打席で初安打初打点を記録した相手が、当時ブルージェイズのハラデイ氏だった。その後も両者は何度となく名勝負を繰り広げており、日本のファンの間でもハラデイ氏の名は深く刻み込まれている。
完投、長いイニングを投げ切ることに執念を燃やし、チームのために腕を振り続けた投手だったが17年11月に、自ら操縦する飛行機事故で40歳の若さで世を去った。しかしながら、その魂と遺伝子は現世でも健在だ。
フリーマンは、打者としてハラデイと対戦した経験を踏まえ「ミスを待たされる投手」「自分の狙い球を投げさせてもらえない存在」だったと回想。その感覚が、今の山本と重なるという。
さらに、今季限りで現役を引退したドジャースOBのクレイトン・カーショー氏(37)も同番組で山本のトレーニングに言及。やり投げなどによる独特の調整法を積み重ねながら育んできた「日本式の柔軟性や体の使い方」に着目し、筋力一辺倒ではない準備が「あの安定感を生んでいる」と分析した。
リスクを承知の上でチーム、国のために腕を振り、WBCへ強行出場する覚悟を固めた。こうした山本の姿勢もまた、ハラデイ氏と共通している。山本はこれまでも19年の第2回プレミア12、21年の東京五輪、23年の第5回WBCと国際大会出場を重ね、侍ジャパンでエースの座をつかみ取った末にチームの世界一、金メダル獲得に貢献してきた。国際舞台での重圧を知り、それでもなおマウンドに立ち続けることを真骨頂としている。
ポストシーズンで見せた「フォア・ザ・チーム」の姿勢。連投にも長いイニングにも嫌な顔ひとつせず投げ続けた背中は、チームメートのみならず世界の人々に勇気と感動を与えた。その延長線上に、今回のWBC参戦がある。
同僚が見たのは、単なる技巧派ではない。「鉄の意志と熱いハート」を持つエースの姿――。だからこそ、フリーマンは「まるで、ロイ・ハラデイみたいだ」と評した。世界一のマウンドを制した右腕はレジェンドの魂と遺伝子を受け継ぎつつ再び日の丸を背負い、次なる重圧へ向かう。













