日中の緊張関係がエスカレートするばかりだ。台湾有事に関する11月7日の高市早苗首相の国会答弁に対し、これまで日本への渡航自粛や日本産水産物の再停止、さらには国連へ2度にわたって書簡を送るなどして猛反発。今月2日には何と1952年発効のサンフランシスコ講和条約まで持ち出す始末だ。関係改善には長期化の様相だが、果たして中国のねらいとは――。
台湾の林佳竜外交部長(外相)は2日、米ブルームバーグ通信のインタビューに対し、日中間の混乱は「おそらく1年」続く可能性があり、「安定」するには時間を要すると認めた。
中国外務省の林剣副報道局長は2日の定例記者会見で、記者から「台湾の林佳竜外相がインタビューで、日中紛争は1年ほど続く可能性があると発言したが…」と質問されると、即座に「台湾は中国の一部であり、〝外務大臣〟など存在しない」と反論した。
習近平国家主席は2018年の2期目に「国家主席の任期は2期10年」と定めた憲法を改正してまで、未到の3期目を務めている。その習氏は常々、公の場で「祖国の完全統一」「台湾の統一」と口にしている。
中国事情通は「習氏の3期目任期の最後の年は2027年です。以前から平和的な台湾統一を図ってきましたが、任期が迫ってきています。武力侵攻は国際世論の目が厳しく、やれそうにもなかった中、台湾からの挑発ではなく、日本の首相が台湾有事という言葉を出しました。〝高市氏は台湾有事発言を撤回しない〟というプロファイリングも済んでいるのでしょう。〝台湾を武力侵攻せざるを得ない〟という世界的な空気感を作るため、ここぞとばかりに日本を煽っています。2027年は人民解放軍の創設100年でもあります。それまで日中関係を緊張させ続ける可能性もあります」と指摘する。
日本が沈静化しようとしても、中国側が何かと火に油を注ぐ状況だ。
2日、X(旧ツイッター)の「中華人民共和国駐日本国大使館」のアカウントは、高市首相が11月26日の党首討論で引用したサンフランシスコ講和条約について「不法かつ無効である」と投稿した。
1952年発効のサンフランシスコ講和条約では、日本が台湾に関するすべての権利を放棄している。
「高市氏が条約に触れたのは『日本は台湾の法的地位を決定する立場にない』という意味です。しかし、中国は『条約に基づく日本の台湾放棄は無効』と言うことによって、〝台湾は依然として日本の一部である〟と示唆し『日本は戦後の国際秩序を壊そうとしてる』と批判する論理を展開しているというわけです。これで日中間の緊張を長引かせることができます。しかし、条約では台湾が中国に帰属するとも定めていないのです」(同)
当分、緊張が和らぐことはなさそうだ。












