ボクシングWBC世界バンタム級王座決定戦(24日、トヨタアリーナ東京)で、同級1位の〝神童〟こと那須川天心(27=帝拳)が、同級2位・井上拓真(29=大橋)に判定0―3で敗れた。キック時代を含めプロ55戦目で初黒星となったが、試合後は早くもリベンジを誓った。大きな挫折にも不屈の闘志で再起を表明した裏には、引退を控える新日本プロレスの棚橋弘至(49)への敬意があった。
負けても心は折れなかった。2ラウンド(R)まで遠い距離から的確なパンチをヒットさせて有利に運んだ那須川だが、3R以降は接近戦を仕掛けられて思うようにスピードを生かすことができなくなる。
それでも那須川は攻撃を試みたが、拓真の巧みな試合運びもあってペースをつかめない。4R終了時点でジャッジは3者が38対38としていたが、8R終了時点で2人が拓真を支持。逆転を狙い終盤に攻め込むも、不利を覆す一撃を繰り出すことはできなかった。
それでも那須川は試合後、眼光を鋭くしたまま拓真と握手すると、将来の再戦を誓う。さらにリング上で四方に座礼し、ファンに感謝してからリングを下りた。
その後、時折悔しさをにじませながらも晴れ晴れとした表情で取材エリアに姿を見せると「ここから始まるな、みたいな気持ちになりました」と前を見据える。拓真の経験からくる強さとうまさに舌を巻きつつ「リベンジしますよ。そこまでしっかり強くなって、拓真選手ともう一回できるところまで行きます」と宣言。引退の選択肢があるか問われると「辞めないっすよ。それは一切ないです。やり返します。必ず!!」と力を込めた。
プロ初黒星という大きな挫折を味わったが、このまま終わるつもりはない。再び高みを目指すべく、神童の心に火をつける人物がいる。それが棚橋だ。
この日の決戦前に、那須川は棚橋への思いを本紙に吐露。来年1月4日の東京ドーム大会での引退試合で、オカダ・カズチカとの対戦を発表したことに那須川は「因縁がずっとあるじゃないですか。だからオカダさんも花を持たせるつもりはないだろうし、本当にバチバチの試合になるんだろうなと思います」と思いをはせていた。
そして棚橋について「天才と言うか、何でもできるっていう印象なんですよ。そういう方が引退するっていうのは、プロレス界にとって残念なことだと思うと同時に〝いい舞台を整えたな〟って思います」と独特の感覚を明かす。「引退を決断できるってすごいと思うんですよ。決断するって難しいじゃないですか。なかなか決断できない人もいるじゃないですか」とその〝引き際〟に感服したという。
さらに「だからこそ、しっかりとみんなの前で辞められるっていうのが本当にすごい決断だなって…。本当に、人間として強い人なんだなと思いました」と最敬礼。自身にとって、その決断は将来どこかで迫られるものではあるが「僕もそういうふうになれるようにしていかないといけないなって思いましたよね」と力を込めていた。
言うまでもないが、そんな棚橋は何度も逆境から立ち上がってきた。那須川にも、同様に再起する姿に期待したいところだ。













